
美はそれを見る人の目の中に、思い出は誰かに向けられた語りの中に存在している、というから、きっと世の中は勘違いで出来ているのだと思う。
見たままに騙されてはいけない。
だから、想像するのはとても楽しい。
例えば、通勤電車で毎朝見かけるあの女性はどういう人なのか。どうして毎日同じ服装同じ鞄でわたしの斜め前の同じ位置に乗り込むのだろう?
花粉対策?宗教上の理由?どこかのお金持ちのように実は2ダースくらい持っていて、同じデザインだけど違うものなのかしら?
最近彼女は乗り込む車輛をかわったらしく姿を見かけない。わたしの視線に気がついたからかもしれない。
だとしたら、彼女の目にわたしはどう見えたのだろう?
それとも・・・もしかすると、彼女を見ていた事自体が錯覚で、そんな人ははじめからいなかったのかもしれない。
目に騙されてはいけない。