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[レポ]ブトウ派達の優雅な休日

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冴える拍子木、鉦太鼓。響く笛の音、謡う声。滑る足先、のばす指。

歌舞伎を見に行ってきました
皆さん、ごらんになったことありますか? もし行ったことがないなら、一度は行かれるといい。いや~、実に面白かった。
演劇やミュージカル、舞踊といったいわゆる「舞台物」は殆ど経験がないため、他と比較してお伝え出来ないのが申し訳ないですが、あまりに面白かったのでご存じの方には今更でしょうがちょっとしたレポを。

■事のはじまり
元はといえば、あまりにも日本の伝統芸能に対して知識がない私にあきれた友人が歌
舞伎に誘ってくれたのが事の発端でした。

 まず当日、諸々の準備と待ち合わせのため、開演30分前に歌舞伎座に集合。
 東銀座の駅を降りたとたんに凄い人混みに仰天させられます。ちょうど人の入れ
 替えタイミングだったらしい。通行人が阻害されるほどの人波に噎せる中、
 りゅうと着物を着こなした和装の皆様がきりりと立っている有様がさすが
 古典芸能。
 そういえば京都の南座の前もこんなやったなあと懐かしく思い返したりして。
 また、明らかに観光客とおぼしき海外のお客様も多いらっしゃいました。
 
 舞台は16:30から21:00前くらいまでと長時間であるため、あらかじめ弁当を購入
 してから歌舞伎座に入ります

 幕間の休憩時間に食べるのです。中は物価が高いので、あらかじめ歌舞伎座の
 外で購入するのがGOOD。
 中ではイヤフォンガイドをレンタル。片耳のインイヤーイヤフォンです。
 1600円ですが、内1000円は保証金で、返却時戻って来ます。ちなみにこれ、英語の
 ガイドもあるそう。
 そういえばレンタルスタッフのことばがたいへん美しい丁寧語で感激しました。
 さすが顧客の耳が肥えた歌舞伎座でのスタッフと云った所でしょうか。
 一応あらすじも書いたペラ1のガイドを貰って、これで予習はバッチリ!
 (ホンマか?)

■タイムトリップ的異空間
 さて、歌舞伎座の中のことを少し。増築を重ねたのでしょうか、よく分からない
 構造なのですが、そこここに休憩スペースや突然コーヒースタンド、なぜか鯛焼き屋
 の屋台、廊下がいきなり窪んでその奥にひっそり売店、唐突に宝飾店や服屋
などが
 現れて謎の不思議空間を作り上げています。
 売っているものも飴細工、せんべい、梅干し、かまぼこ
  ……もちろん弁当や茶もあるんですが、ラインナップがすこぶる珍奇です。
 こういう全体像がはっきりしないハコって大好きです。大シャンデリアが落ちてきて
 怪人が笑いそうではありませんか!秘密の抜け道とか地下に大湖とかないかね!
 (ダンジョン好き)

 全体にレトロなのですが、それも「昭和レトロ」と時代を限定してしまう事も出
 来ない不思議なレトロさ。たぶんどの世代の人でも「レトロ」だと感じるので
 はないでしょうか。

 「……服屋があるで、服屋」と、初心者の我々が動揺すると
 「なぜかいつも歌舞伎座にはあるんだよねえ」
 と詳しいツレが言います。祖母世代をターゲットにしたとおぼしきラインナップの
 店で、別に背中に錦絵を背負ったTシャツなどは売っていません
 (売ってたら外人さんが買いそうだけど)。
 「ここで服買うてどういうシチュエーションなんやろ……」
 「一日の売り上げを聞いてみたい……」
 「『をほほほ、奥様。そろそろ歌舞伎座に夏の新作を見に行きませんこと?
 なんていう奥様達がおるんやろか……」
 「いるかああぁ?」
 謎です。

 きょろきょろしながら3階席に。
 ちなみに4200円の席です。一階の桟敷をとったら17000円。位置的には低いが、
 高嶺の花とはこのこと。座席は一番小さな夜行バス並にきちきちに狭いです。歌舞伎座
 自体は1800人入るとのことでした。意外と広いですね。

■目にも綾なるとりどりの
 さて、幕が開きます。とりあえずあらすじに目を通し、イヤホンを耳に突っ込みます。
 目を引くのは大道具。寺での花見の場面なので、朱塗りの欄干も鮮やかな寺と、
 桜の背景。他に立木で桜が何本も。華やかなシーンですが、面白いのが塗り方。
 これが実に日本画っぽい。彩色は原色を用いてありながらも、輪郭の描き方、影を
 つけない塗り方が平面的でどうみても日本画風の手法。
 後に川べりでのシーンでは背景に瀬の流れが描かれますが、これも北斎の描いた水
 の流れのような描き方で、日本画そのものでした。この平面的な背景に登場人物が
 立つとまさに浮き立ち、錦絵というにふさわしい。
 実に完成された世界観を作り上げます。

 それにしても衣装もまた凄い。緋色に浅葱に金に黒に。目に痛い程ですが、その色の
 併せ方が実に美しい。金の衣装の袖の内側だけがきれいなグリーンだったり。傾奇者(カブキモノ)、傾城(ケイセイ)なんて単語が浮かびました。
 傾奇者とは伊達を気取って派手な言動を取った室町、江戸時代の言ってみれば
 「エッジの効いたイケメン」(?)、傾城とは城を傾けるほどの美女から転じて近世
 ではそれほどのランクの遊女をさす言葉です。つまり常識ひっくり返るくらい派手、と
 かきれい
、という事か、と。席が遠すぎてキメの表情までは確認出来ませんが、たぶん
 近場に行くとあのより目のキメ顔もぴたりと決まってるんでしょう。

■音に聞こえし歌舞伎座の
 イヤホンガイド意外とあまり喋りません。各幕で担当者がそれぞれ違うのですが、
 喋る人もいればほぼ無言の方も。まあ、あまりうるさくても気が散りますので、
 いっそこれくらいでいいのかもしれません。その分、あらすじ読んでおくのは
 必須です。私はセリフに集中するため、途中からは殆ど外してしまっておりました。

 しかし、ホントこれは異文化です。何を言ってんだか分かりづらいのなんの。女形の肉
 声が隅々まで聞こえてくるのは凄い事ですが、いかんせん、言い回しも声も独特で
 聞きづらい。これほどまでにヒアリングに必死になった観劇が未だかつてあった
 であろうか。──いやない(反語)。まるで洋画を字幕なしに見てるみたいです。
 特に姫君や高貴な人のセリフは独特の抑揚をきかせてあって聞きづらく、幸いにして
 演目の関係上、盗賊達がべらんめぇな口調で喋ってくれるたびにほっと和んだもの
 でした。
 女装して甲高い声で喋ってた人物が正体見破られてべらんめぇ口調になるところなど
 「ルパン!」と思わず叫びそうになりました。
 昔は髪型から衣装から全部男女で違ってたので、女装も簡単に……かどうかは分かり
 ませんがやろうと思ったら出来たんでしょうね。
 「あーあー、えれぇ目に遭った。あっちこっち締め付けて身体がいてぇよ」なん
 てセリフもあり、女物の着物はだけてばっさばっさやったりして。
 結構フランクで、いつもあの間延び口調だと思っていただけに意外な発見でした。
 いや、とっつきやすくていいやね。(でも月代剃ってたら女性の髪型はそもそも無理だぁね)

さて、長くなりましたのでここらで一幕。次に続きます。

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