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いのちの食べ方 [Our daily Bread]

エンタメ

いのちのたべかた
ドキュメンタリー映画「いのちの食べ方」を見に行ってきました。
簡単に言うとこれは動物や植物が、食糧としてスーパーに並ぶまでの加工の様子をひたすら映したという映像です。

以下、ちょっと生々しい表現があるかもしれません。お嫌いな方はあらかじめ待避お願いします。


この映画は90分。特筆すべきは始まってから終わるまで、一切のナレーションも効果音もない、ただ撮っただけの映像がひたすらに流れ続ける事です。
カメラが写し続けていくのは様々な生産現場。広大な農場や海、そして工場といった施設です。
植物が育てられ、農薬にさらされ、収穫され、出荷されていく有様。
魚が海の中から吸い出され、機械に捌かれ、切り身になって出荷される姿。
鳥やブタ、牛といった家畜の「生産」や「収穫」も。

殆どの場合、動物に引導を渡すのは機械の仕事ですが、当然、血が滝のように流れ、内臓は湯気を上げます。スプラッタは苦手なの、という人は、それで見る事をためらうくらいの衝撃的な現実です。
ただ――、そこにあるのは、スプラッタ映画とは確実に一線を画している世界です。
私はかつて手術を見学したことがあります。手術台の上で人の腹が裂かれ内蔵が整然と取り出され、そして患部を切って縫合されていく姿。それは喜怒哀楽の感情が入る余地もない、厳然とした「リアル」でした。誰もが一度は見た方がいい、と思うほどのカルチャーショックをうけた十代の時。そのせいかもしれません。生産の現場は殺戮の現場である、という以前に、そこは清潔に整えられた工場であり、そこに働く人たちはどこまでも普通の人たちであり、そこにはやはり喜怒哀楽の入る余地がない現実である、という事は、なかなかに見応えがあるものでした。
生きるためにある手術室と、死の満ちあふれた工場は対極にありながら、無菌に近く整然と整えられ、どこよりも生と死の狭間に近いという意味で、何よりも近しい現実に見えました。

豚足を巨大なハサミで切り落としていく女性はフェルメールの描くレースを編む女さながらのたたずまいで、大きな機械音とは別に、ただ静謐にそこに在りました。

映像はただ現場を映しています。そこにある音は農薬を撒く飛行機の爆音であり、機械のきしむ音であり、家畜の鳴き声であり、意味を聞き取れない従業員達の声であり。――そう、そこでは人の声も家畜の声と同じ「動物の立てる音」でしかないのです。従業員は自分の仕事に誇りをもっているのでしょう。殆ど言葉を発することなく淡々と仕事をこなしていきます。そして、これは監督の意図でしょう、随所に従業員の食事風景が織り交ぜて流れます。彼らはブタを捌いたその手を洗い、ポークハムのサンドイッチをただもくもくと口に運びます。――実にシュール? いや、単なる現実です。

ただカメラをまわしていく、ということ。撮り手の恣意によって感情を高める音楽は不要
。感じたり考えたりということを妨げ、予め知識を植え付けてしまうナレーションも不要
。見る者はただ現実を受け止め、自分の目と耳とでそれを整理するしかないという、映画です。

あまりの「機械的」さに驚くのもいいでしょう。
「何てむごい」と絶句するのもいいでしょう。
食肉偽装問題や地球温暖化、ポストハーベスト問題に真っ青になる人も居るかもしれません。
そこで日々生産され出荷されていく「豚肉」や「鶏肉」に対して、命の尊さを再認識しよう、とかもう一切食べるのをやめた、と思うのもアリですね。
ナレーションがないということは、そこに出てくる感想が人によって違うということ。これは実に興味深い事だと思います。

映画のキャッチにあるのが「誰のためにありがとうといいますか?」という文言。

私自身は、そこの意味が変わった気がしました。
私はこれからも色々な植物を、動物を、摂取して生きていく。「ご馳走様」「いただきます」というときに日本人は手を合わせる風習を持った人がいますが、これは気をつけようかな、という気になりました。どうせ食べて行かざるを得ないなら、ちゃんと感謝して食べていこう。

上述したフェルメールの絵のような女性が豚足を裁つ度に、「沖縄の人たちは世界一ブタの食べ方が上手い。どこもかしこも余すところなく全て上手く食べる方法を知っている」という、何かで見た言葉が脳裏を過ぎりました。
出来るなら裁った豚足もテビチとして食べてほしい。どうせ食べるなら全て余すことなく食べてあげるほうがいいよな。

そんな風に思った映画でした。
この映画は世界の各国で上映され、数々の賞を受賞しているそうです。
ナレーションも音楽も要らない。そういうこの映画は世界で上映するのが何よりも簡単な映画ではないかと思います。

整然と並べられた野菜やぎっしりと一つ所に集められた同じ種類の家畜を見て、世界各国の人が色々な事を考えればいい。

私はその姿を見て、学校の体育館を思い出しました。
人は家畜を食べるために人工授精で大量に生産し、そうして「飼育」された人間達も同じく整然と「社会」を動かす為の糧となって動いている訳で。どうしたところで人間というものは、そういう風にするしか方法を知らないという事でしょうか。それも
単なるリアルでしかないんだな、と思った訳でした。

この映画は今月後半まで、全国の映画館で上映されています。
お時間都合のつかれる方は是非見に行かれると良いかと思います。
少なくとも知らないよりも知っていた方がいい、と私は個人的に思いました。apple

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[2]

おばさん、初めまして!
(このハンドルに呼びかけたら、何か近所の人に声かけてるみたいですね・笑)
クリエイターのみんながどう受け止めるか、もの凄い興味があるんですよ、この映画。みんなの感情にビシビシ訴えかける映像だと思います。
この映画見て日本はどうなんやろなあと思いました。たぶん世界中に色々な現実があるに違いない。
今月終わりまでやと思いますよ。お早いお運びを~(回し者みたいですが・笑)

seeds2008/03/05 11:16:28

[1]

はじめまして。
おばさんです。
これ、超観たかった映画なのです。
森達也「いのちの食べかた」を読んで、あまりの「いやほんまにそう、そのとおりやねん」さにおどろいたものでしたが、
今年映画館にこの映画のポスターを発見してまたびっくり。
はよう観たいです。
たべものは、100パーセント、生きてるか生きてたものだけですもんね~。
ごはんは(米だけという意味ではない)とにかくだいじです!いちばんえらいです!
いのちの食べ方…ほんとに生き物としてとして一番大切にしないといけんことの一つです。
ぜひとも観たいです。

OBASAN2008/03/04 23:18:06

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