
昨日、iPhoneにさわる機会に恵まれました。
実は触ってみるまでさほど興味はなかったんですが。……いやあ、素晴らしいですね。殆ど初めて、携帯を「欲しい」と思いましたよ。
これが電話の行き着く先かと思ったら感動です。間違いなく電話の常識はこれで変わりますよ。なんて素敵なんだジョブス(いや、彼だけじゃないですけどね)。
ついているボタンは正面に一つきり。これはメニュー画面に戻るためのボタンです。
あとは脇にボリュームの調整ボタンがあるだけで、他は全てタッチパネル。
このタッチパネルの操作性のよさも、正にCMで伝えている通りです。
実際に触ってみると感動します。かゆいところに手が届く、ということはこれを言うのだなと。windowsモバイルは100年反省して欲しい、とは同じく使ってみたうちのボスの台詞ですが、正にその通りだと。「電話機に○○をつける」という今までの概念を覆して、これは電話機能を付けた素敵ガジェッドなんでしょうけど、それにしても今までの他のガジェッドとは一線を画したクオリティです。
無名の質、という言葉があります。 Quality Without A Nameの訳語で、QWANと略されたりもしています。元々は建築家のクリストファー・アレクザンダーの言葉なのだそうです(著作は未読なのだけども)。
言葉に定義されていない「なんか使いやすい」「なんか好き」と思われるものの事を言うのですが、iPhoneをさわってみると「ああ、これだ! 正に無名の質のカタマリだ」と思います。
最近では「ユーザーエクスペリエンス」という言葉でも表現されますね。こちらの方が旬かな。ちなみにこちらの意味は、「エンドユーザーと、会社およびそのサービス、製品との相互作用のあらゆる面を含んだ典型的なユーザーエクスペリエンスの第一要件は、つまらぬいらいらや面倒なしに、顧客のニーズを正確に満たすことであり、次に所有する喜び、使用する喜びとなる製品を生産するといった簡単、簡潔なことである」ですからほぼ同義です。こちらは元アップルコンピュータのユーザーエクスペリエンス・アーキテクトの肩書きを持っていたドン・ノーマン博士の造語とのことですので、そりゃappleの製品は素晴らしいわ、何しろ概念の発祥の地だもんなあと思います。
さて、翻って我々クリエイターは「受取手がハッピー(もしくはラッキー、あるいは感動を感じるよう)になってくれるような」無名の質を想像し、創造し、提供する事が望まれると思われるのですが……。
例えば電話だけじゃなくてiPodもついてたら便利だよね、と考えるのは誰でも出来る。
そこで想像する訳です。
・タテじゃなくてヨコ向けて使うかもよ?
・小型化に従ってボタンも小さくて実は使いにくいかもよ?
・ゴテゴテ無駄にでかいのはイマイチだよね、などなど
――そこから製品化へ進むわけですが。
・ボタンが使いづらいならタッチパネルだ
・ヨコをむけたら感知して画面も横長にしよう。ジャイロ入れるか
・大きいのは興ざめだから、出来るだけ小さく、そして薄く
仕様を決めてからは技術陣の面目躍如、同時にデザイナーも大はりきりってなもんでしょう。
・プラの「なんちゃって金属」ではなく、ここはもう金属とガラスでしかないだろう
・画面に表示されるアイコンの色
・画面に指をすべらせたときのシームレスな連動感
・かつんと填ったかのような切り替えのタイミング、などなど。
使っていてハマる、そのうちこれしか考えられなくなる、という入り込み方は正にappleらしいやり方といえるでしょう。
持っていてCool、使っていてシンプル、そういう必需品の概念を超過する「無名の質」を満載した、殊こういう電化製品を見ると、デザインと調達と開発とマーケティングの粋だと思えて感動します。
……というわけで皆さんも見かけたら是非いじってみてください。