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イベント/コラボ 2009/03/24

みる、きく、ふれる・・・日常を変革する、新しいリアリティを体験
森美術館 『万華鏡の視覚』展

キュレーターインタビュー 荒木 夏実

2009年4月4日から7月5日まで、森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)で、「万華鏡の視覚:ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより」が開催されます。
本展覧会では、優れた現代美術のコレクションで知られるティッセン・ボルネミッサ現代美術財団とのコラボレーションで、インスタレーションを中心とした数々の作品が展示されます。

ロフトワークは、前回の「チャロー!インディア」展」に引き続き、「万華鏡の視覚」展の魅力を、クリエイターならではの視点から伝えるレポーターを募集します。レポーターの方には、4/3(金)に開催される内覧会に参加していただき、写真やブログを通じて展覧会のみどころをレポートしていただきたいと思います。

まずは、展覧会に先立ち、森美術館キュレーターの荒木夏実さんに、展覧会開催までの経緯や、展示される作品の内容、出展アーティストの素顔や、作品の楽しみ方など、じっくりとお話をうかがいました。

Thyssen-Bornemisza Art Contemporaryのアクチュアルな取り組み

ロフトワーク(以下略):今回の展覧会が開催されることになった背景を教えてください。

荒木さん(以下略):オーストリアのグラーツにある現代美術館で、ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団の所蔵品をみせる展覧会がありました。それを(森美術館の)南條史生館長が見て、「非常に力のある、おもしろいコレクションを持った財団だ」ということで、それから財団の創設者フランチェスカ・フォン・ハプスブルクさんと対話を重ねて、この展覧会の企画が進んでいきました。


ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団とは、どのような財団でしょう?

フランチェスカ・フォン・ハプスブルク氏が2002年に創設した現代美術財団です。比較的新しい財団ですけれど、世界の名だたる現代美術作家の優れた作品を、すでに450点以上集めています。
作品を集めるだけでなく、たとえば、アートイベントなどで大きなパビリオンをアーティストと一緒に創ったりもします。そのなかで演劇の公演や、コンサートも開催したりする。パビリオンは、イベントの期間が過ぎると取り壊されてしまうものですが、これらの活動を通じて「今」活躍している現代アーティストたちが表現したいこと実現させることで、アーティストたちのアクティビティそのものを支援しているという、めずらしい財団だと思います。

フランチェスカ・フォン・ハプスブルク氏は、なぜ現代美術の作品を集めているのでしょう?

ティッセン・ボルネミッサ家は美術品のコレクターの家系で、フランチェスカさんはその4代目にあたります。マドリッドには、ティッセン・ボルネミッサ美術館といって、古い美術作品を集めた美術館があります。フランチェスカさんの父親の代までは、現代美術といっても、20世紀初頭ぐらいまでの作品を集めていました。
しかし、フランチェスカさんは、今、まさに現在進行形で活躍中のアーティストたちの作品を集めたり、その活動を支援していくことに意義を見いだしています。アーティストたちと対話しながら、彼らが何を考えているかをくみ取りながら作品を集めることで、今の社会に開けた活動をしていこうと思っているのだと思います。


フランチェスカ・フォン・ハプスブルク氏のコレクションには、どのような作品が集められていますか?

まずは、作品として非常に人を惹きつける力のあるものです。さらに、ただ単に鑑賞するような作品ではなく、作品と観客との対話によって、面白さがどんどん広がっていくタイプの作品、つまり、コミュニケーション型の作品が多いと思います。

展覧会「万華鏡の視覚」のコンセプトとみどころについて

展覧会のタイトルは「万華鏡の視覚」ですが、「万華鏡」という言葉には、どういう意図が込められているのでしょう?

万華鏡を覗いた経験がある方ならお分かりになると思いますが、万華鏡はそこに新しいものを何も加えなくても、ただ回転させることによってどんどん見え方が変わっていきます。
この「万華鏡を通してみたビジョン」と同様、われわれが「これが世界だ」とか、「これが常識だ」とか「肉体だ」と信じている現実(リアリティ)というのは1つではなく、さまざまな側面を持っており、実に多層的・多角的なものです。——今回の展覧会では、作品、つまりアーティストの視点を通じて、こうしたリアリティの多様性に気付き、驚くという体験を味わっていただきたいと思っていますし、その象徴として「万華鏡」という言葉を使っています。


今回の展覧会の企画において、キュレーターとしてとくに意識したこと、工夫したことを教えてください。

今回の展覧会は、初めの企画段階からすべて先方(ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団)のキュレーターと一緒に話し合って決めていきました。
いつも意識していたのは、現代美術のファンでない人にとっても、見て、感じて、楽しいと感じてもらいたい、という点です。そのため、コレクションのなかでも特にインパクトの強いものを選びました。
財団としても、これだけ大規模な展覧会に作品を貸し出すのは初めてですし、しかもアジアでの展覧会も初めてでした。そのため、本展覧会には非常に力を入れくださって、「この作品は見せたい!」という意見が、お互いにほぼ一致していましたのが本当に幸運でした。

現代美術の神髄といいますか、醍醐味といいますか、そういうものを現代美術を知らない人でもダイレクトに味わってもらえるような強い作品が中心になっています。


今回の展覧会をたのしむポイントなどはありますか?

視覚だけでなく、聴覚を刺激する作品や、実際に手をふれて触覚を味わうインスタレーション作品などがあります。伝統的な彫刻や絵画のように、受け身の立場で鑑賞するのではなく、「感じてほしい」展覧会になっています。
見た目にも非常にダイナミックで、美しい作品が多いですが、さらにそこのなかに入ってみたり、触れてみたり、聞いてみたりすることで、どんどんイマジネーションが広がります。ともかく体験して、ふだん自分たちが信じてきたリアリティというものを一度忘れて、ぜんぜん違ったビジョンで世界をとらえなおしてもらえたらと思います。

そうした見る者の既成概念を崩すような力というのは、現代美術が持つ、重要なパワーの1つだと思います。

イマジネーションを強く刺激する作品が一堂に会した展覧会

今回の展覧会のなかで、個人的におすすめの作家・作品があれば、教えていただけますか?

今回、出展するアーティストのほとんどが、世界のスター選手ともいえる方々ばかりです。また、彼らの作品のなかでも、とくに優れた作品が数多く展示されています。そういう意味では、どの作品も非常に見る価値のあるものばかりです。

たとえば、ジャネット・カーディフの「触ること」という作品があります。われわれの生活では、とかく視覚が偏重されがちですが、ジャネット・カーディフは、視覚以外の感覚を強く刺激するような作品を創ります。
この作品は、真っ暗な空間に大きな木のテーブルがあり、鑑賞者がこれに「触れる」行為によって、まわりのスピーカーから男女の親密な会話や、車の騒音、ナイフを研いでいる音といった、さまざまな音が聞こえてくるというものです。
視覚が奪われた状態で聞こえるさまざまな声や生活音は、聞く人が持っている記憶や、もともと置かれている立場によって、全く違った意味としてとらえることができるでしょう。そういう人間の感覚——記憶を含めた——を非常にドラマチックに扱った作品は、とても意味深でおもしろいですね。


アーティストと実際にコミュニケーションをとることもあったかと思いますが、印象に残っているエピソードや言葉などはありますか?

イエッペ・ハインというアーティストは、「自分にとってアートというのは、コミュニケーションのためのツールだ」というふうに話していました。
彼の作品は、直径50センチのメタリックな球体で、これがぶるぶる震えたり、ゴロゴロ転がったりするんです。見る人はそれにすい寄せられていって、追いかけてみたり、逆にそれから逃げてみたりする。
見た目は、だれもが知っている球体で、特にめずらしくはない物体です。ところが、作品にアプローチすることで、インタラクションが自動的にはじまります。また、同時に自身の姿も球体に映り込むという点でも、鑑賞者は、はからずも作品の一部になってしまうのです。
イエッペ・ハインいわく、「それこそがコミュニケーションであって、アートはコミュニケーションのために存在するんだ」と。この作品は、この展覧会のひとつの象徴になると思います。

ぜひ注目したいと思います。とはいえ、スター選手が集結した展覧会ということですから、すべての作品を、1つ1つじっくり見てほしいということですよね。

そうですね。出展作家は、全員アーティストとして非常に優れた人たちです。それぞれの作品が美術品として完成度の高いことはもちろん、彼らは物事を非常に深く考え続けているので、作品に「厚み」があります。

アーティストの意図やメッセージをすべてくみ取る必要はありませんし、作品から感じとるものは観客によってさまざまだと思いますが、どの作品も、観る人に何かを「感じさせる力」が、とても強い作品ばかりです。


お話をうかがって、すごくたのしみになってきました。「展覧会を見に来たい」と思っているクリエイターの方はたくさんいると思います。そういう方たちにメッセージをお願いします。

本当に贅沢な展覧会だと思います。これだけすごい現在美術の作品が集まる機会は、本当にめずらしいことです。ものをつくっている人であれ、あるいは文章を書いている人であれ、さまざまなクリエイティビティや、イマジネーションを刺激する作品が揃っています。世界や空間を本当に多角的にとらえている作品が多いので、ぜひこの展覧会を見て、自分の人生や仕事に何らかのヒントを持って帰っていただけたらと思います。


荒木さん、お忙しい中、ありがとうございました。

展覧会レポーター募集
森美術館「万華鏡の視覚」展 の魅力を伝えませんか?

ロフトワークでは、年間を通じて森美術館の展覧会をご紹介するとともに、クリエイターのみなさんにブログや写真などを使って、展覧会の魅力をご紹介いただく企画を行います。

そこで、今回開催される「万華鏡の視覚」展のレポートをしてくださるクリエイターの方を大募集!
4/3(金)に開催される「万華鏡の視覚」展のプレス向け内覧会に参加していただき、ブログでみなさんの感性と独自の視点で、展覧会のみどころ、現代アートの魅力を発信していただきたいと思います。

ご応募、お待ちしております!

何をやるの?

●プレス内覧会へ参加
 通常、報道関係者に向けて開催されるプレス内覧会に参加していただきます。
 プレス説明会や、キュレーターによるギャラリーツアーにも参加できますので、展覧会や個々の作品の意図などをより詳しく知ることができます。

●写真の撮影
 通常の観覧では撮影できない、作品の展示風景を撮影し、ブログに掲載していただきます。
 (撮影の際は、森美術館の提示する規約に従っていただきます。)

●Flickrに、みんなのフォトアルバムを作成
 参加したみなさんに展覧会風景の写真をご提供いただき、Flickrにフォトアーカイブを作成します。

前回「チャロー!インディア」展の様子
前回「チャロー!インディア」展の様子

キュレータによるギャラリーツアーは、作品への理解がさらに深まります
キュレータによるギャラリーツアーは、作品への理解がさらに深まります

参加条件

●ロフトワークドットコム 登録クリエイターの方
●プレビュー開催時に森美術館にお越しいただける方
●2009年4月10日(火)までに展覧会のレビューをロフトワークのブログに掲載できる方
●美術鑑賞にあたり、写真撮影に関する下記の禁止事項ならびに、森美術館側が指定する撮影条件を守っていただける方


 ≪禁止事項≫
  - 作品のみを写した撮影、ならびに作品の近距離撮影
  - フラッシュの使用
  - 来賓の近距離撮影、ならびに個人を特定できる写真の公開
  - 動画、音声の記録

開催概要・応募方法

 開催日:2009年4月3日(金) 14:00-17:00のいずれかの時間帯
 会場:六本木ヒルズ森タワー53F 森美術館 (受付は3F)
 定員:20名まで
 募集期間:2009年3月30日(月) 10:00 まで

 応募方法:
  下記の内容をメールにてpr@loftwork.comまで、お送り下さい。
  担当者より、3月30日(月)15:00 までに返信を差し上げます。

  ・メールタイトル
   「森美術館 内覧会参加希望」とご入力下さい。
  ・登録クリエイター名
  ・クリエイターID または ロフトワークにご登録いただいているポートフォリオのURLのいずれか
  ・連絡先メールアドレス
  ・参加希望の旨

 *クリエイターIDとは
 ご自分の作品やブログが表示されているページのURL
 (http://loftwork.com/user/*****/)の、*****にあたる3~5桁の数字です。

 * 参加人数に限りがありますので、応募者が多数の場合、抽選をさせていただく場合があります。