単純化された形、余計なものを捨てた、シンプルな構成。これらは、日本画家 東山魁夷が確立した、独自の表現手法です。明快な描写により、自然と対峙する中で深めていった自身の深い精神性をより伝えやすくしています。
東山作品は、一見すると、洋画的のようにも見えます。実際、戦後に流れ込んできた新しい美術思想に影響を受けてはいるものの戦前までに自分が形作っていた日本画の表現に対して確信をもって制作を続けました。
なにより、自然描写の中に自身の内面や精神を映し出す感性そのものが、昔から伝わる日本の美の精神と深くつながっていること表しています。
すべての作品にわたって貫かれている「自然と向き合う姿勢」は、現代の日本人が失いつつあるものでもあります。今、東山魁夷の作品に触れることは、美術鑑賞以上の意味があるのかもしれません。