STORY02: 越後妻有の名水「竜ヶ窪」

おいしい水にかくされた竜の伝説

新潟県魚沼郡津南町で、貴重な水源として古くから人々に愛され親しまれてきた竜ヶ窪。毎分30トンもの大量の水が湧き出ているため、一日で池の水がすべて入れ替わり、いつも濁ることなく美しく澄みわたっています。昭和60年には、新潟県で初めて環境庁の名水百選に選定されました。通年6~7℃を保っており、沼の中の木々や葉は決して枯れることなく、その姿を保っています。

湖面は鏡のように美しい


この竜ヶ窪には、古くから伝えられてきた不思議な伝説が数多くありますが、なかでも、名前の由来にもなっているお話がこちらです。


―昔、越後の国に南のはずれに、妻有の里、芦ヶ崎という村がありました。ある年、長い日照りが続き、村人は食糧どころか水一滴なく苦しい生活をしていました。そこで、1人の青年が、天上山へ食べ物を探しに出かけたところ、昼寝をしている竜に遭遇しました。竜のそばに卵を見つけたので、青年は子どもたちとお年寄りにこれを食べさせようと、盗み出して村に持ち帰りました。


しかし、卵を割ると、卵の中にいた竜の子が母親竜に助けを求めました。すると、怒り狂った竜が現れ、村人を食い殺そうとしました。恐れおののいた村人たちは「どうか、子どもたちだけは助けてほしい」と哀願します。竜は村人たちの必死さに心を打たれ、村人のために三日三晩雨を降らせ、池を作ってやりました。
村人たちは喜んで竜にお礼をいうと、竜は、
「この池は、お前たちの美しい心の象徴だ。しかし、人の心の曇るとき、この池は涸れてしまうであろう」
と、いい残して消えました。


村人たちは、この地を『竜ヶ窪』と名付けて大切にし、神社を立てて竜神様をおまつりしたということです。


実際に竜ヶ窪を訪れると、池の周りはそのままの自然が残されていて、とても神秘的な場所でした。また、美しい水とその周りの景観は地域の人々の手で、長い間大切に守られてきたことがうかがえます。


人々は、恐ろしくも心優しい竜への感謝の気持ちを子々孫々と伝えてきました


住民の「思い」から生まれた温泉

天然水「竜ヶ窪の水」(りゅうがくぼのみず)を販売している株式会社竜ヶ窪温泉の代表取締役社長の涌井さんと、主任村山さんに、詳しいお話を伺ってみましょう。


LW:竜ヶ窪にはたくさんの伝説が残っているそうですね。


涌井さん:民間伝承として伝えられた、約30近い伝説があります。特に多いのが、竜神にまつわる話や、ご神木の伝説です。今も昔も竜ヶ窪の湧き水はこの地域の人たちの生活になくてはならない大切な水源であり、大切な場所です。おそらく、昔の人々は様々な伝説を作ることでこの場所を神聖化し、守ってきたのではないでしょうか。


株式会社竜ヶ窪温泉社長 涌井さん(左) 売店・企画・営業主任で温泉ソムリエの資格をもつ村山さん(右)


LW:「竜ヶ窪の水」が商品化された経緯を教えてください。


涌井さん:もともと、住民たちが地域開発にとても熱心で、この株式会社竜ヶ窪温泉も市と住民が出資しあってできました。竜ヶ窪の水は、そんな竜ヶ窪温泉を盛り上げるための活動のひとつで、今年2011年6月に発売となったばかりの新商品です。
ほかにも、水を活かして地元のにがりと大豆で作った「名水豆腐」やコーヒーも売り出しています。観光客の方々はもちろん、地元の人々にも人気があります。次は、味噌やお漬物といった新商品にもチャレンジしていきたいです。


LW:スーパーやコンビニで売っている天然水と、竜ヶ窪の水のちがいはどんなところですか。


涌井さん:120度の熱湯で最低限の煮沸滅菌にとどめているので、湧水そのままのおいしさを味わえるというのが自慢です。中にカルシウムなどが極端に少ないので、ウィスキーや焼酎を割ってもおいしいでしょうね。お客様からは「まろやかで飲みやすい」という声をよく聞きます。
また、軟水で体に吸収しやすい、というのも特徴ですね。お年寄り、赤ちゃんにもやさしい水です。


デザインで「津南町の四季」を表現してほしい

ほんとうに龍が住んでいてもおかしくないような、神秘的な空間


LW:リデザインプロジェクトに参加しようと思ったきっかけは何ですか。


村山さん:このRooootsのリデザインプロジェクトは前々から知っていたのですが、リデザイン対象の商品を募集しているというのは津南町の広報無線で聞いて初めて知りました。


LW:自治体の広報が無線で行われるんですね。なんだかちょっと新鮮です!


村山さん:そうなんです。津南町では一日3回無線が町に流れるんですよ。
今の竜ヶ窪のパッケージは自分たちだけで作ったものなので、この機会にクリエイターの方の力を借りて新しいデザインにしてみたいと思ったのがRooootsに参加した動機です。芸術祭に参加した多くの人たちに津南町のこと、竜ヶ窪のことを知ってもらうきっかけにしたいなと。


LW:最後に、Rooootsに参加するクリエイター達へメッセージがあればお願いします。


涌井さん:この地域は、四季の移ろいが非常に美しいんです。この公募を通じてたくさんのクリエイターのみなさんに津南町に関心をもってもらい、この地域の自然をよく観察してデザイン活動に生かしてもらえればうれしいですね。私たちにとって、地域の外から人が津南町に遊びに来てくれることがとてもうれしく、これからも大事なことだと思っています。


LW:どうもありがとうございました!


お話を聞けば聞くほど、津南町の人たちが、竜ヶ窪をいかに大切にしてきたかが伝わってきました。
そして、竜ヶ窪に直接行って感じた、身震いするような感覚は今でも忘れられません。津南町の人たちが大切に守ってきた、美しい竜ヶ窪の姿は日本の宝でもあります。Rooootsをきっかけに私たち他の地域の人もクリエイティブの力で竜ヶ窪を守るお手伝いができるのではないのでしょうか。


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