STORY04: 伝統のうちわに新しい息吹を「丸亀うちわ」

瀬戸内の伝統工芸品「丸亀うちわ」は、約300年前の寛永10年ごろからつくられているといわれています。


丸亀地方では、
「伊予竹に土佐紙貼りてあわ(阿波)ぐれは讃岐うちわで至極(四国)涼しい」
と歌い継がれているように、竹は伊予(愛媛県)、紙は土佐(高知県)、ノリは阿波(徳島県)と四国4県で材料がすべてそろうことが江戸時代も今も、大きな強みとなっています。


丸亀城の中に県内唯一の丸亀うちわ工房「竹」はあります。そんな丸亀うちわの伝統を守り続けている、「竹」の創立メンバーである三谷さんに丸亀うちわにかける思いをお伺いしてきました。


全国のうちわ生産量の9割を占める、丸亀産うちわ

初めに、「丸亀うちわ」とは、どんなうちわですか? 普通のうちわとの違いを教えていただけますか?


三谷さん:丸亀うちわのいちばんの特徴は、紙を張る「穂」といわれる部分と、持ち手の「柄」の部分が1本の竹でできていることなんです。ほかのうちわは、柄の部分に穂を挿すものが多いのですが、丸亀うちわは穂と柄がつながっているので、とても丈夫なのが特徴です。
今、全国のうちわの9割を丸亀で作っています。そのうち竹製のうちわが1割で、材料となる竹のほとんどは中国から輸入しています。丸亀産の竹で作られているうちわは非常に数が少なく、貴重なものなんです。


うちわづくりにおいてこだわっているポイントについてお聞かせください。


三谷さん:やはり、丸亀産の竹で骨から手作りすることにこだわっています。山に竹を採りに行くところから始まり、それを持ち帰ってうちわの骨を作り、紙を張って仕上げるまで、1本ずつ丁寧に手作りするのです。うちわづくりには全部で47の工程があり、一度に300本のうちわを作ることができます。

張る和紙にもこだわりがあります。香川県のみならず、隣県にも足を運び、阿波手漉和紙や高知いの和紙、徳島藍染紙、しじら布などといった素材のなかからイメージに合うものを買い求めることもあります。


丸亀で作ったものを丸亀で売りたい

三谷さん自身は、なぜ丸亀うちわ製作を始めたんですか?


三谷さん:今から11年前に、たまたま市の広報誌を見て丸亀うちわ製作の「後継者育成講座」が開かれることを知り、1期生として勉強を始めたのがきっかけです。そのときは高松のほうに勤めに出ていましたが、ちょうど、母が高齢になってきたので「できれば地元で何かしたい」と考えていたところでした。うちわの作り方など何も知らない素人でしたが、興味を持ちはじめて、すぐに勤めをやめて受講しました。


講座はとてもおもしろく、うちわ作りの工程を全てひとりでできるようにと、2週間のあいだ、朝9時から夕方5時までみっちりと勉強しました。講座終了後もさらに勉強を続けたいと思い、講座で教えてくださった先生に弟子入りし、1年ほど指導を仰ぎました。


工房「竹」は会社組織や団体組織ではなく、10人のメンバーそれぞれが独立した個人作家として活動しています。素材選びから、製作、販売まで全部自分ひとりの責任で行っています。ただ、商品として販売できる品質の骨を作れるのは、この工房にいるメンバーのほかに数人しかおらず、職人の数そのものが少ない、というのが現状です。


新製品の開発にも積極的

うちわづくりをしていく中で、何か新しい試みなどはありますか?


三谷さん:工房では、それぞれのセンスを生かしてユニークな形のうちわ作りに挑戦したりもしています。今年の干支に合わせたトラの形のうちわなどは、子どもさんたちには受けています。イヌやネコなど、動物の形のものもあります。また、女性のかばんの中にも入れておけるような、小さなうちわの開発にも力を入れています。移動中にも手軽に取り出して使える小ぶりでかわいいものを考えています。


お客様は、女性の方が多いのですか?


三谷さん:そうですね。女性、どちらかというと若いかたが多いです。ちょうど今、お城がブームということもあり、若い女性がグループでお城に遊びに来て、帰りがけに買ってくださいます。観光バスですと、ご年配のかたもお見えになります。また、しおりサイズの小さな物をまとめて買われるかたも多いです。


「瀬戸内に行ってきたよ」と感じさせてくれるデザインを

今回の企画参加へのきっかけを教えてください。


三谷さん:参加しようと思ったそもそものきっかけは「うちわを入れる袋をおもしろいデザインにできないかな」という気持ちでした。でも、その後うちわそのもののデザインを考えてもらったほうが楽しいのではないかということになり、全国のクリエイターさんたちからアイディアをいただくことになりました。


デザインを手がけるクリエイターに期待することは何ですか?


三谷さん:うちわのデザインをクリエイターのみなさんに提案していただいて制作するというのは今回が初めてなので、本当に楽しみです。
デザインのコンセプトとしては企画の趣旨にそったもの…瀬戸内海の島々や土地が想像できるもの、おみやげとして「瀬戸内に行ってきたよ」と感じさせてくれるものができればうれしいですね。


今日は、お忙しいところお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


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