Interview:パステルカラーに包まれた優しいイラストレーション/渡辺紗緒理

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イラストレーター・渡辺紗緒理さんの描く作品は、あたたかく優しい空気に包まれた色合いが印象的です。渡辺さんの作品の特徴とも言えるパステルカラーで彩られた風景画は、どこか懐かしく、穏やかな気持ちにさせてくれます。

見ていて心地よい渡辺さんの作品たちは、差し色としてパステルカラーの中に強い色を少しいれたり、グラデーションを意識して配色をするなど、様々な工夫が隠されています。
また『争艶彩池』では、山の色をピンクで表現するなど実物とは異なった色で着色していて、その風景の雰囲気や空気感がより伝わります。

今回は、そんな渡辺さんのパステルカラーの配色の工夫や背景について伺いました。


このインタビューは、特集『Adventure of Color scheme』の関連コンテンツです。
本特集では、4名のクリエイターたちの、色使いが魅力的な作品たちを紹介しました。また、それぞれのクリエイターの「色彩構成」に関するインタビューを通じて、「色使い」へのヒントをひも解いていきます。


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>>特集:Adventure of Color scheme – 色彩の冒険



ー渡辺さんの作品はパステルカラーが印象的で、見ていて癒されたり、懐かしい気持ちになるものばかりです。渡辺さんの配色に関するこだわりを教えてください。

ありがとうございます! 自分が、心地良い、気持ち良いと思える色を選んで描いています。



ー配色はどのような手順で決めていくのですか。

使いたい色を1~2色だけ決めてから、制作に取りかかります。他にどの色を使うかは、途中でバランスを見ながら決めていきます。

何を描くかも決めず、「この色を使いたい」と思って作り始めることもあるんです。



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ーご自身の中で決めている配色のルールやコツなどはありますか?

特にルールは決めていないですが、意識していることは、

・色のトーン(明度・彩度)に気をつけること。
・全体のまとめ役として、無彩色(白、グレー、黒)を使うこと。
・ベースを淡い色にして、濃い色を全体に使いすぎないこと。

です。

特にトーンについては、メリハリをつけたい時は、淡い色調の中に鮮やかなトーンを少し持ってきてアクセントにしたり、色数を多くしたい時はトーンを揃えてうるさくならないようにする、というふうに意識しています。



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ーまとまりのある配色は、そういった意識から完成されているんですね。
色彩構成に関して、とくに影響を受けた作家や作品、あるいは普段参考にしているものはありますか?


小さい頃から、色鉛筆やマーカーがきれいに並んでいるのを見るのが好きでした。また、カラフルなビーズや小物を並べ替えたりして、色の組合せで遊んでいました。そのような経験が、今の色彩感覚のルーツになっているように思います。

影響を受けた作家、作品はたくさんありますが、しいて挙げるなら、ソニア・ドローネー、ウィリアム・モリス、フランク・ロイド・ライト、リートフェルト、ジョルジュ・スーラです。どれも学生の時に見たのですが、当時の私には「こんな素敵なものがあるんだ!」ととても衝撃的でした。

特にソニア・ドローネーの作品では、かたちや色の組み合わせでこんな魅力的なものができるんだ!とハッとさせられました。自分もやってみたいと思ったんです。

普段は、草花や空などの自然の色合いや、街中の人のファッション、広告、建築などを参考にしています。



ー彩色の際に使用しているツールや画材を教えてください。また、それを用いる利点や、扱いやすいポイントは何でしょう?

コラージュの場合は色紙・折り紙を使い、イラストはアクリル絵具と、仕上げにPhotoshopを使っています。

アクリル絵具は微妙なニュアンスの色が作りやすいところ、色紙・折り紙は、配置や組み合わせを何通りも試せるところが、気に入っています。



ーアクリル絵の具などを使用する際、イメージ通りの色彩を表現することは難しくはないですか? ご自身で工夫していることなどがあったら教えて下さい。

難しく感じたことはありません。自分にとっては、実際に色とりどりの紙のかけらを眺めたり、絵具を混ぜ合わせたり、思うままに手を動かして紙を切り出すことで、イメージを作りやすく、思いがけない色やかたちに出会えることもあり、とても楽しいです。

とはいえ、アナログな手法だけにこだわっているわけではなく、パソコンに取り込み微調整をするなど、デジタルの良いところも取り入れるようにしています。



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《争艶彩池》



ー作品『争艶彩池』や『金沢兼六園』などは、実在する場所の風景画を実際とは異なる色合いで表現していますが、それらの色彩構成はどのようにして決めていますか?

自分の一番伝えたい色を決め、その他の色は一番伝えたい色が際立つように調整します。
そのため、時には実際の色とは異なる色合いになることもあります。

たとえば『争艶彩池』では水の青、『金沢兼六園』では緑のグラデーションを、一番際立たせようと配色しました。

本来の色にとらわれず、思ったままに、自由に塗ってみたいなという気持ちも実際はありますね。



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《金沢兼六園》



ー今後チャレンジしてみたいことはありますか?

自分はデッサンが苦手で、状況を伝えるためのイラストレーションを描けず、ずっと悩んでいました。
しかし、色で雰囲気を表現するという方法もあるのでないかと今は思っています。
色の力を使って、目に見えないもの、例えば、空気感や心を表現した作品を作ってみたいです。



ー渡辺さんの優しく心地よい作品たちを、これからも楽しみにしています!ありがとうございました。




Profile:

gazou-watanabesaori渡辺紗緒理/イラストレーション、コラージュ作家
1983年生まれ。「illustration」誌第184回ザ・チョイス準入選
大学では住居・インテリアを専攻し、卒業後よりイラストレーションの制作を開始。MJイラストレーションズにて本格的にイラストレーションを学ぶ。風景、心象イメージ、草花などを中心に、線画やコラージュを織り交ぜた手法で印象的に描く。


Website: http://orinasu.exblog.jp/
Portfolio: http://www.loftwork.com/portfolios/orinasu



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