Interview:「もじ」に命をふきこむ 文字×映像ユニット・ふじうの(宇野由希子+藤田すずか)

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《夜は》 (映像: https://vimeo.com/195458083


書体デザイナーの宇野由希子さんと、映像デザイナーの藤田すずかさんが組むユニット「ふじうの」は、和文タイポグラフィに三次元のモーションを加えて映像として表現する作品シリーズ『もじうご』を制作しています。


ふたりの代表作であり、東京TDC賞2017・RGB賞を受賞した『夜は』では、ひらがななどの日本語文字の持つ独特の「空間性」を意識した文字が、360°全方位にスルスルと動いています。ことばが解けては白い背景に溶けていくその様子は、シンプルながらもいつまでも見ていられる美しさです。


「パチパチ」や「もちもち」など、作る言葉の持つ質感を意識して作った文字デザインが動く『もじうご』の映像シリーズを作るふたりに、制作の背景を伺いました。




このインタビューは、タイポグラフィに新たな表現や可能性を見いだす3名のクリエイターにフォーカスを当てる特集『Metamorphosing Typography-変容するタイポグラフィ』の関連コンテンツです。


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>>特集:Metamorphosing Typograpy – 変容するタイポグラフィ




ーおふたりが「ふじうの」としてユニットを組んだきっかけを教えてください。


宇野・藤田: 私たちはもともと同じ大学の同級生だったのですが、ある時なんとなく、それぞれ文字と映像がつくれるので2人で文字を動かしてみようという話になり、『夜は』という映像作品を作ったのがはじまりです。
『夜は』を作っている最中、他の文字や動きも作ってみたいという気持ちになって、その後も制作を続けていくことにしました。




ー『夜は』の文字の動きについて、最も難しかった、苦戦した点はどこですか? また、逆に楽しかった点はどんなところでしょう。


藤田: 3DCGソフト上で奥行きを持った文字を作成する際に、360度、どの角度から見てもゆるやかな美しい曲線を持った文字を作成するのに苦戦しました。ある角度からは滑らかな線になっていても、他の角度から見るとガタガタの汚い線になっていてガックリ来ることが多々ありました。


作業している間はずっと苦しい思いが続きますが、映像を書き出して自分が意図していたものに近い動きが上がってくると、ちょっぴり楽しい気持ちになります。




ー『夜は』の映像作品に出てくる詩の内容は、どんな意味を持っているのでしょう? また、この言葉を映像で表現した理由を教えてください。


宇野:『夜は』の制作の時は、初めて「文字を動かす」ことに挑戦しようとしていて、予め「こういう文字デザイン・動きを作ってみよう」と決めてから、それらに合った文章をつくりました。


文字デザインのイメージから、浮遊感、静けさ、広がり等のキーワードを挙げて「夜」というテーマを設定し、おおまかな構造を考えました。
それぞれの言葉は、情緒的になりすぎず一歩引いた目線で見られるように、さまざまな文学作品から「夜」に関連する文を抽出して構成しました。




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《もちもち》


ー普段はどのような手順で、おふたりで協働して1つの作品を製作しているのでしょうか?


宇野・藤田:まず、動きや文字の形のイメージと動かす言葉を、2人で相談して決めています。それから宇野(もじ担当)が平面で文字をつくって、それを藤田(うごき担当)が受け取って奥行きと動きと色をつけるというのがおおまかな流れです。




ー制作時に参考にしているものや、心がけている点などはありますか?


宇野:『もじうご』の文字をつくり始める時は、書道字典をパラパラめくりながら考えることが多いです。
「もちっ」としている字ってどんなかな〜、この字の右ハライは「もちっ」としている気がするな〜、こういうカーブの角度が「もちっ」と見えるのかもな〜、というかんじで、動きのイメージと文字の形を頭の中で結びつけています。


藤田:映像を作る時にいつも思い出すのは、映像作家のNorman McLarenの作品と、教育映画の「Powers of Ten」です。どちらも数十年経っても全く古く感じないし、シンプルでずっと見ていられる面白さがすごいなと思います。




ー言葉がもっている質感をいかに表現するか、またシンプルでもいかに伝わる映像をつくるかがポイントなんですね。
宇野さんに質問です。文字を作るときにこだわっている点を教えてください。


宇野: 『もじうご』の文字には、動きによって違った条件があります。例えば作品「パチパチ」の時の文字は等幅の線で構成しました。でも、『もじうご』は文字を抽象化するのではなく、2Dに描くのと同じように3Dに描く・動かすという考え方を持っているので、条件にとらわれて単純な形を選んでしまわないように気をつけています。幾何学的でない、やわらかさのある曲線を大切にしています。


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《パチパチ》(映像 https://mojiugo.tumblr.com/image/159150958369




ー映像を担当している藤田さんに質問です。文字の動きを表現する時に、心がけていることはなんですか?


藤田:文字の形状に合った自然な動きであること、明快であること、3DCGっぽいヌルヌル感を出さないことです。技術的なことに寄りすぎて数年後見たときに古くなってしまわないように、3DCG特有のヌルヌル感はなるべく出さないように心がけています。どちらかというと動くグラフィックのようなイメージで作成しています。




ーおふたりの作る『もじうご』は擬態語が多いですが、作る文字の内容はどのように決めているのですか。


宇野・藤田:選ぶ言葉には特に制約はなく、動きの印象などから思いつく言葉をふたりでどんどん出して、その中から選んでいます。「この文字デザインではハライが含まれる字が使いたい」とか「この動きには画数が多いほうが合っている」というようなことも考えます。




ー文字の内容というよりも、文字そのものの形やイメージからアイデアを生み出しているんですね。
『もじうご』作品はカラフルでかわいらしいものが印象的です。色合いなどはどのようにして決めているのでしょうか。


宇野・藤田:基本はノリと勢いですが、作品「パチパチ」の時は華やかに、「もちもち」の作品の時はおいしそうにしっとりもっちりと、というように、言葉のトーンに合わせるように心がけています。


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《れ》




ーこれから挑戦してみたいことを、教えてください。


宇野・藤田:引き続き「ふじうの」としてこれからも新しい動きに挑戦していきたいと思います。音楽や詩にあわせてつくったりもしてみたいです。実写と『もじうご』を組み合わせてみたいという気持ちもあります。


ー新しい『もじうご』作品もとっても楽しみです!宇野由希子さん・藤田すずかさん、どうもありがとうございました!




Profile

image4宇野由希子(もじ担当)
1989年生まれ。仮名書体「こうぜい」で東京TDC賞2014タイプデザイン賞を受賞。有限会社字遊工房書体デザイナー。


藤田すずか(うご担当)
1991年北海道生まれ。グラフィックデザインと映像デザインを中心に活動。21_21 DESIGN SIGHT 単位展「単位しりとり」映像デザインなど。


ともに2013年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。東京TDC賞2017RGB賞を受賞した映像作品『夜は』の制作をきっかけに共作を続け『もじうご』として公開している。


Website: https://mojiugo.tumblr.com/


お知らせ:

8月からtype.centerで連載「今月のもじうご」がはじまりました!毎月更新される『もじうご』作品は要チェックです。


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