Interview: 文字のつくりを深く観察し、図や絵として魅せる / 美山 有

mojikoi_blog


loftwork.comでは、4/17〜5/7の期間『Mojiで恋する5秒前』というテーマで、3人のクリエイターのアートワークを紹介しています。略して「Moji恋」特集、です!


ブランドのロゴから看板文字に至るまで、「タイポグラフィ」の領域は多種多様です。本特集は、日本のポップカルチャーを彩る「文字」に注目し、3名の「POPなタイポグラフィ」を手がけるクリエイターたちのアートワークを紹介しています。
ここでは特集に関連して、3人のクリエイターそれぞれに制作の背景についてインタビューします。


カラフルで躍動感のある文字作品を生み出すグラフィックデザイナー・美山 有さん。欧文から漢字にいたるまで、イラストや幾何学的なモチーフをおりまぜながら、ユニークな形の文字をデザインしています。また、アニメーションでエレメントを動かしたり変化させたりするモーション・タイポグラフィを制作するなど、それぞれの作品に、美山さんの「文字」への観察眼が生きています。
今回は、そんなタイポグラフィ愛に満ちた作品をつくる美山さんに、制作の背景をインタビューします!


>>特集:Mojiで恋する5秒前 Can’t stop falling love with Typography


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褻着 kegi ロゴ



ー美山さんのタイポグラフィ作品はどれも親しみやすいイメージで、やや懐かしい雰囲気のものも多いですね。いつごろから文字のデザインをはじめたのですか?

かなり小さい頃から文字に興味を持っていた記憶はありますが、意識的に描き始めたのは中学生の頃です。美術の授業で篆刻(てんこく)をやる機会があって、そのときに参考資料として渡されたレタリング辞典に夢中になったのがきっかけです。

それと同時期くらいに、当時聴いていたメタルバンドのロゴを模写したり、辞典を見ながらオリジナルの文字を作っていました。とにかく暇さえあれば文字ばかり描いていました。

高校に入ってからはサイケデリック文字にはまり、大学に入ってからは昭和の書き文字にはまり、大学一年生のときに初めて仕事としてロゴをデザインさせてもらいました。



ー幼い頃から生粋の文字好きだったんですね!現在は、どんなものから制作のインスピレーションを受けていますか?

ずっと興味を持っているものは、宇宙関連の物事、古代文明、文字、サイケデリックアート、建築です。

尊敬している人はたくさんいますが、横尾忠則、メビウス(ジャン・ジロー)、マックス・エルンスト、ミヒャエル・エンデ、ドビュッシー、河合隼雄、養老孟司、西沢立衛、藤森照信、といった人たちが特に好きです。最近では、アルバムのタイポグラフィやジャケットなどをデザインさせてもらっているバンド、ナツノムジナからもすごく影響を受けているなと思います。

とにかくいろいろなものを見たり読んだりすることが好きなので、今まで見てきたもの、読んできたものからは少なからず影響を受けていると思います。あとは普段からよく散歩をするのですが、街を歩いていて得るものはとても多いです。


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「夢見本」



ー美山さんの文字デザインは手描きの作品が多いようですが、ベクターの線とどのように使い分けているのですか? また、手描きで使う道具へのこだわりも教えてください。

ベクターで線を描くのが苦手なので、基本的にはすべて手描きで始めます。
全体の像が見えてきて、手描きの線が合わないなと思ったときにベクターを使いますが、そのときは幾何学的なものになることが多いです。

描くときの道具はかなり重要で、デザインを考えながら紙と筆記具を選びます。ここを間違えるとうまくいかないです。描いているうちに作りたいものが決まってくることが多いので、とにかく手を動かさないと始まらないなと思います。



ー手描き作品のなかでも、漢字の部首がイラストで構成されているものがかわいくて気になります!こういった作品のアイデアは、どうのように思いつくのでしょう?

これは『ミルとヨム』という作品で、見ても読んでも同じ意味になります。文字を「読んでいる」瞬間と、図として「見ている」瞬間が行ったり来たりして、その無意識の切り替わりを意識できたら面白いなと考えました。

作品の着想は、文字から見つけることもあれば、何かを見て、「あの文字で行けるな」と思うときもあります。この作品のときは、いろいろな単語を思い浮かべて描きながらイメージを見つけていました。



ナツノムジナ『天体』のレコードジャケットがすごく凝っていて、手書き文字・アートワークが満載で素敵ですね。コンセプトや大変だったことなど、制作に関するエピソードがあれば教えてください。

ありがとうございます!

ナツノムジナとは表現したいイメージが一致することが多くて、やりたいことや伝えたいメッセージがよく理解できるんです。一方で、それらのイメージをグラフィックとして第三者に伝わる形に落とし込むのが、なかなか難しいです。

そもそも、音楽を視覚的にで表現すること自体が難しいと思うのですが、ナツノムジナはビジュアルよりも世界観をどういう構造で表すかが重要になってくるので、まずフォーマットを考えるのがひと苦労です。同時に、そこがとても楽しいところでもあります。

アルバム『天体』では、メンバーから星座早見盤というアイデアが出ていたので、あとはイメージを具体化していくことに集中しました。

一言にまとめるのが難しいので、いつも明確なコンセプトは持たないのですが、アーティストが曲をつくるときや演奏するときに浮かぶイメージに、自分の頭の中のイメージをなるべく一致させることを大切にしています。


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ナツノムジナ「天体」



ーデザイナーとして、アーティストのイメージに寄り添いながらビジュアルを組み上げていくんですね。文字をデザインしながら「おもしろい・楽しい」と感じるところ、また逆に「難しい・つらい」と感じるところはありますか?

文字はすでに完成された図形なので、どんなことをしても読めさえすれば(もしかしたら読めなくても)成り立つというのが面白いですし、崩したり変えたりしながら可読ギリギリのところを攻めて、新しい字形を見つけていくのがとても楽しいです。とくに漢字は表意文字なので、文字としてだけでなく図としても面白くて、いろいろやり甲斐があります。

もともと、何か絵を描きたいけど描きたいものがなくて文字にたどり着きました。実際にやってみると「絵」以上に「図」が好きだったのですが、そういう経緯からか好きなものをつくっているのでつらいと感じることはありません。とにかく文字を描くのは楽しくて仕方ないです。

むしろ、自由に絵を描けないことにつらさを感じていましたが、最近では図的な表現の絵なら描けるかもしれないと思って挑戦しています。



ー最後に告知等ありましたらお知らせください。

ナツノムジナが今夏フルアルバムをリリースすることが決定し、またアートワークを担当させていただくことになりました。現在絶賛制作中で、曲もデザインも最高なものになるはず(!)なので、気にかけておいていただけるとうれしいです。

ナツノムジナHP(http://natsunomujina.com/



ー今回のインタビューを通して、美山さん自身がとても楽しんで文字デザインをしていることが伝わりました。だからこそ、遊び心溢れる素敵な作品が生み出せるんですね。ありがとうございました!




Profile:

U370美山 有
1992年生まれ。横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科建築EP卒業。在学時にタイポグラフィを中心としたグラフィックデザインをはじめ、卒業後はフリーのグラフィックデザイナーとして活動。グラフィック以外にも、建築、プロダクト、インテリアなど様々な分野に手を出している。

Portfolio: http://www.loftwork.com/portfolios/u380/profile
Website: http://uyumayami.tumblr.com/



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