Interview: 人間の“性(さが)”が見えてくる? コラージュ作家・filmoutが紡ぐ物語

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loftwork.comでは、2/27〜3/19の期間で『シュールレアリスムの遺伝子』というテーマで、4人のクリエイターのアートワークを紹介しています。


20世紀前半に活躍したシュールレアリストたちの作品は、現代のグラフィックデザインやイラストレーションにも大きな影響を与えています。シュールレアリスムの遺伝子を「いま」のアートワークの中からさぐる本特集。ここでは、特集に関連して全4回にわたり、4人のクリエイターそれぞれに、その作品創作の背景についてうかがいます!


一人目は、広島で映像作家、コラージュ作家として活動しているfilmoutさんです。filmoutさんの作品はコラージュによって「ありえない世界」を描きながらも、欲望や愛憎といったリアルな人の性(さが)をシニカルに表現しているようにみえます。パンと人を組み合わせたコラージュ作品や、古典歌舞伎のワンシーンを使った作品は、一度みると忘れられないインパクトがあります。今回は、その制作の背景を伺いました。


>>特集:シュールレアリスムの遺伝子 Gene of Surrealism


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井戸の中の風景



ー filmoutさんのコラージュは印象的で、一度見ると記憶に残ります。これまで影響を受けた作家・作品はありますか?


フランツ・カフカ、ルイス・ブニュエル、デヴィッド・リンチの不条理さや、不穏で滑稽な世界にかなり影響を受けています。また、アキ・カウリスマキ作品で人生の浮き沈みが淡々と語られるところや、コーエン兄弟の物語の組み立て方なども参考にしています。


いずれにしても表面的なシュルレアリスムというよりは、根本に人間の滑稽さや切実さがあり、そこから湧き出る表現に惹かれます。ダウンタウンやバナナマンのコントからも同じような意味で影響を受けていると思います。


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ぼくらの本心



ー 物語や映画、コントのなかのブラックユーモアや不条理に刺激を受けているんですね。
コラージュ作品にとってどんな素材を使うかはとても重要なことだと思いますが、使用する素材はどうやって決めているんですか? また、どんな所から素材を集めることが多いですか?


依頼されて制作する場合は、どういうものを作るか決めてから素材を探すことがほとんどです。依頼主の要望を聞いてキーワードを書き出していき、繋がりそうな素材を集めます。なので、完全にアナログ制作というわけではなくIllustratorやPhotoshopを使うことが多いです。


個人的な作品を制作する場合は、雑誌をパラパラめくっている時に気になった写真から始めたり、予め切り抜いておいた素材が雑多に重なっているのを見ながら、作りたいイメージがうまれることもあります。


素材はほとんど雑誌ですが、たまにアクリル絵の具やスプレーを使ったり、雑誌以外の紙を使うこともあります。ただ具体的な絵柄のないものを使いすぎるとどんどん抽象的になっていき、物語性が排除されていくので、ベースはやはり雑誌や本です。


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Three Rear Windows



ー 具体性や物語性が伝わるように意識されているんですね。たしかに、filmoutさんのコラージュ作品は、主人公的なキャラクターや人と人との関係性が描かれているように見えます。
filmoutさんがコラージュをつくるときに、とくにこだわっている点はどんなところでしょう?


映像であれコラージュであれ、そこに物語らしき土台があり、リアリティがあるものの上に成立しているということは意識しています。単純に見た目を整えるのではなく、常にビジュアルによって「どんなイマジネーションが生まれるのか」を考えています。


普段の生活の中でみえているものは、物事の一側面にしかすぎません。そのため、まるで作り話のようにおかしなことが、何の脈絡もなく断続的に起きているように感じます。コラージュでは、そのような不可思議な事象を「映像的に」表現しているつもりです。素材そのものにも、どの時代に印刷されたものなのかといった時間的な要素が含まれています。


手法としては、切り取った輪郭の外側を使って、それぞれ別の時間と空間を貼り合わせるということもしています。バラバラの時空を一つの平面に落とし込むということは、映像編集の感覚にも通じるところがあります。


それと、タイトルにもこだわっています。タイトルとビジュアルが対になって、作品を見た人が内容・ストーリーを想像できるように工夫しています。


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しなやかな肉体、パン



ー 今表現したいことやチャレンジしていることを教えてください。

見た目がどうしてもシリアスなので、もうちょっと笑える作品が作りたいです。試作的にやってみているのは、今までの作品に登場するキャラクターや物を説明した本を作っていることですかね。本と言えるほどボリュームはありませんが、とりあえずZINEのような感覚で制作しています。




ー 笑えるような作品…! filmoutさんの作品はシニカルなイメージがありましたが、笑えるようなコラージュも気になります。ZINEができたら、ぜひポートフォリオでも紹介してください。filmoutさん、ありがとうございました!




Profile:

filmoutfilmout / 映像作家、コラージュ作家、グラフィックデザイナー
1981年広島県生まれ。学生時代から映画、音楽に没頭し始める。2007年頃から主に広島でイベントや展覧会を開催。
コンピレーションアルバムFOGPAKの全アートワークを担当する。以降、国内外の数々のアートワーク、ミュージックビデオを制作する。


Portfolio: http://www.loftwork.com/portfolios/filmout Website: http://filmout.jp/



filmoutさんの展示・イベント情報

filmout作品展 『SHIFUZOU -畑にあるテレビに二階建ての動物が繋がれている-』
映像とコラージュの展覧会を開催。
開催期間:3/19(木) – 3/22(水) 14:00-23:00 ※月曜定休
開催場所:本と自由 (広島県広島市西区横川町3丁目4-14)

TRADITIONAL HIROSHIMA DANCEFLOOR #1
コラージュアーティストの河村康輔さんとイベントの主催者である葉朗くんと三人で共同のコラージュ作品を制作。
開催日時:3/12(日)
詳細URL:https://kkhiroshima.tumblr.com/



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