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Love Stationery 023

Love Stationery へようこそ

文房具が大好きなカメラマン飯田昌之が見つけて撮影した写真と文章をお楽しみください

 

第23回は「原稿用紙」

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小学校の時から「字が汚い」と言われ続けている
ミミズがのたくったような字は自分にしか解らない暗号のようだ
だからなのか、6歳の息子の書く文字に対しての読解力はかなりある

「頭の中に浮かんできた言葉たちを書き連ねるのが追いつかないから」といつも言い訳をするが
その実「他人に読ませるために書いていない」と言うのが本音だろう
小学校6年生の時の観劇感想文で、400字詰原稿用紙10枚を書いたが、担任からは「疲れる
から読んでない」と言われたのも忘れられない記憶だ(長すぎたことが原因だ。と思いたい)

キレイな文字に憧れがない訳ではない
が、文字を書くこと、そして文章を書くことが好きな事は確かだ
そこで興味を持ったものこそ、今回のモチーフである「原稿用紙」だ

Writing_paper

 

自身は物書きではないので最近はめっきり使うことがなくなってしまった「原稿用紙」なのだが
机の横のキャビネットには数種類の「原稿用紙」が入っている

コクヨアピカ伊東屋オリジナル、満寿屋 ….

特に下調べをして買ったものではなく、銀座の伊東屋で現物を見て、興味を持った物を購入した
いわゆる「お気に入りの原稿用紙達」だ

今回、そのお気に入り達をモチーフにするにあたり、いろいろと調べてみた

するとどうだろう
こんなにも魅力とサブストーリーに満ちた世界が背景にあったではないか

さぁ前置きはこの辺にして「原稿用紙」の世界に足を踏み入れてみよう

Writing_paper

 

調べてみて先ず気づいた事は「原稿用紙は日本語の為の特別な様式用紙である」という事だ
我々が思い浮かべる「マス目をきった原稿用紙」は世界に類を見ない独特のものなのだ

草書などが普段使いされていた江戸時代などの時代劇をみても、巻き紙にスルスル、ユラユラ
書かれている達筆な文字を見たことがあるだろう
そんな様式にはマス目はジャマだ

事実、日本で最初の原稿用紙と言われている鉄眼道光禅師の黄檗版鉄眼一切経(1681年完成)も
20文字10行を1頁とした形式を備えてはいるが縦の罫線が書かれているのみだ

現存する最古の原稿用紙は江戸時代後期(1827年)に漢文体で書かれた頼山陽の「日本外史」と
されているが、一般的になったのは明治時代中期と言われる
(漢文のように一文字づつ書く必要性があったからだと思われる)

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書式の原理原則を発端とするマス目も印刷技術の発展と共に意味合いが変わってくる
活版印刷が普及し、原稿の文字量を正確に把握することが必要とされるようになると、規格化
された原稿用紙が多く使われるようになる
代表的なものは内田魚庵の作った19文字10行の用紙だとされる
夏目漱石をはじめとして他にも多くに作家たちに用いられた
(実際に漱石の「道草」の原稿は19文字10行の用紙に書かれている)

現行の400字詰原稿用紙になったのは計算がし易いからだろう
(200字詰や400字詰の方が切りが良いと感じるのは10進法が浸透しているからか)

面白いエピソードとしては、明治後期から大正期に中央公論の編集者だった滝田樗陰が原稿用紙
のマス目を守らない作家に対して400字詰原稿用紙に換算した分量しか原稿料を払わなかった
ことで、作家たちがマス目通りに原稿を書くようになったとの話もある

この他、原稿用紙の使い方や論文における原則など原稿用紙に関わる話題は枚挙にいとまがない

とは言え、ここでそれらを列記することは Wikipedia 丸写しなので、ご自身で確認されたい
(二つ折りの印としての魚尾などトリビアの宝庫だ)

さて、今回のモチーフである私の原稿用紙について書いてみよう

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前述の通り、感性で買って気持ち良かったものは伊東屋オリジナル No.121 原稿用紙
ルビ罫はなく、横長のマス目が刻んである B5版200字詰
クリーム色も心地良く、大好きな万年筆もスラスラ進む(相変わらず読める字では無いが)

 

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同時に見つけたのが満寿屋の原稿用紙だ
これが調べてみると、驚くほど有名で、川端康成や三島由紀夫などの文豪が愛した原稿用紙だ
(自らの無知を晒すが、高校生の時のこと故にお目こぼし願いたい)

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私が好きなのは No.106 のルビ罫無しの300字詰
B5版を横に使うタイプでマス目は正方形だ
キッチリしたいという気持ちの表れが選ばせたに違いない(と思いたいものだ)

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伊東屋とは微妙に色が違う。満寿屋の方が沈んだクリーム色だ

 

マス目があっても関係なく書き、縦書き用の用紙を横書きに使ったりしている方もいたりするなど
押し並べてシンプルにできている道具ほど、使われ方に驚くほどの多様性と懐の深さがある
用途が特化すればするほど、潰しが効かなくなるのは道具だけでなく人も同じか

-+-

今回もシンプルなモチーフを、シンプルに撮影した
今まで取り上げてきた中でも飛び抜けて趣味性の高いモチーフだが、自らの文房具好きの原点とも
言える素材なので、自分にとって大事なものだ
手触り、使用感など興味を持たれた方は、実際に文具店に行って確かめて欲しい

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最後はお気に入りで

 

Love stationery 022

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(更新の間隔が空いてしまったことに関しては最後に記載がありますので御覧ください)

 

第22回は「クレヨン」

クレヨンと言うと何を思い出すだろう
子供の画材、画用紙、柔らかい線、ワックス
グリグリ、ペタペタ、ガリガリ . . . .

幅広い受け取られ方をするクレヨンだが、概ね素朴なイメージを持っている方が多いだろう
実際に描画される絵も優しい印象を受ける
クレヨンそのものもシンプルなものだ
子供達が持ちやすいように太めにできているし、紙で巻かれているのも感触が良い
使用されている材料もパラフィン(蝋)などの自然素材と顔料なので幼児教育の場では大活躍だ
私自身も長男のために蜜蝋でできた、口に入れても大丈夫なクレヨンを探して購入した記憶がある
5月に生まれたばかりの次男も、大きくなってそのクレヨンで遊ぶのだろうか

クレヨンはその性質からよく知られる画法がいくつかある

下地に鮮やかな色を塗り、その表面を黒などの濃い色で塗りつぶしたところを鉄筆など硬いもので引っ掻いて下地の色を出現させ描写する「クレヨンスクラッチ法」などは小さな頃にやったことのある方も多いのではないだろうか
また 素材のパラフィンが撥水性を持つため、クレヨンで描画した上から水彩絵の具を塗る画法なども幼稚園や保育園などの幼児教育の現場でよく見られる

クレヨンと比較される画材としてパステルがある
パステルは顔料と結合剤で出来ていて、解りやすく表せば粉っぽい
そのためフィクサチーフなどの定着剤を使用しないと画用紙に固定することが困難だ
その反面、画用紙上での混色などの技法を使用できるので多くの画家に好まれている
クレヨンはパラフィンの特性上硬度が高く、線描による描画が中心となるため、混色は不得意だ
このような理由から高度な表現技法を駆使できないクレヨンは画家からは敬遠されがちである
日本のサクラはクレヨンの使い勝手の良さとパステルの描写性を併せ持つクレパス(一般名称はオイルパステル)を開発した
パステルの開発と普及にまつわるエピソードはとても興味深いので参照リンクを是非ともご覧いただきたい

参照リンク サクラクレパス サクラコラム 「クレパス・クレヨンはどう違う」

では今回のクレヨンに話題を戻そう
クレヨンの語源はフランス語のクレヨン・パステル(crayon pastel, パステル鉛筆)である
そして今回のモチーフはアメリカ「Crayola」社のクレヨンだ
1903年にアメリカのBinney & Smith 社から発売された8色入りの「crayola」はアメリカの美術教師の要望に答えて発展した
2007年に社名を「Crayola」に変更して今に至る
日本ではサンスターが販売代理店となっており簡単に入手できる
「Crayola」の歴史もとても面白いので一読をお薦めする

(英語サイト、しかも Flash コンテンツなのでマシン環境に注意が必要だが)

撮影に使用したこのクレヨンは今から20数年前の誕生日に友人から貰ったものだ
自分自身に絵心はないものの画材は大好きで、新宿の世界堂などによく行っていた(今でも良く行くがww)

そのことをよく知る友人が「多分好きそうだから」と当時贈ってくれたものだ
とは言え、彼もまさか今頃になって個人作品のモチーフになるとは思ってもいなかったであろう
前述の社名変更以前の製品なので製造元は「Binney & Smith」でありmade in USA の表記も見える

この撮影を機に所有者は長男になったが、彼の机の上にある姿を見る毎に、眺めていても楽しい商品だなと感心してしまう
ちなみに中央に立つ巨大なクレヨンはシャープナーになっていて先を細く削る事ができる

今回の撮影は使用感や画材としてのクレヨンらしい表現と言うよりもビビッドな色合いや、子供達が興味を持ちそうなプロダクツの感触を感じてもらいたい

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最後に前回のセロファンテープから更新の間隔が大きく空いてしまった
原因は文中でもすこし触れたが5月の次男の誕生だ
無事に産まれてくれたことは神様に感謝するのみで、家族は幸せに包まれている
ただ幸か不幸か(精神的充実感は代え難いが、懐具合は大変なことになっている)仕事が忙しくないので、存分に育児に参加していたら作品撮影のタイミングを逸してしまった(次男の生活に合わせていたので極度の寝不足になったことが主因だ)
そんな彼も生後2ヶ月を過ぎ睡眠時間も延びてきて、世話をする親の側にも睡眠時間の余裕がでてきた
これからはお仕事、作品撮影共に今まで以上に充実を図っていく所存なので、宜しくお願い申し上げます

Love Stationery 021

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第20回は「テープ」

今回のモチーフはセロファンテープ

セロファンテープは1930年にアメリカの3M社によって開発された

デュポン社の開発したセロファンと3M社のドルーの開発秘話は興味深いものだ

が、あえて最初に登場するのはニチバンのセロテープ®だ

なぜ「®」が付いているかといえば、セロテープ®はニチバンの登録商標だからだ

小さい頃からお世話になっている粘着テープの代表であるセロテープ®

調べてみると興味深い話がテンコ盛りだった

それでは奥深いテープの世界に入っていこう

日本のセロファンテープができたのは終戦直後に遡る

終戦後にできたGHQでは事務処理のためにセロファンテープを使用していた

しかし輸入が遅れ、国内生産の可能性を探るべく戦前より絆創膏を作っていたニチバンに白羽の矢が立った

ニチバンの開発者たちは、わずか1ヶ月で試作品の製造ん成功してGHQの担当者を驚かせたという

何という製作者魂だろう

戦後の復興期に高い志をもった人々の心意気を感じるではないか

その後、日本に根づくまでの話はニチバンのエポックメーキングでご覧頂きたい

さて、セロテープ®をもう少し探ってみると更に興味深い事実に出会うことができた

まず、原材料が全て植物性で出来ているので分解すると土に還ると言う事

合成素材が原料だとばかり思っていた自分には目からウロコであった(ニチバンのセロテープの世界

が、これだけではない

つぎの驚きは製造工程にあった

言われてみれば、然もありなんと言うべき事柄なのだがセロテープ®の粘着面には粘着剤が塗布されている

が、その構造は実は高機能で、粘着剤が塗布されていない面には剥離剤が塗布されてい、剥がれやすくなっている

さらに粘着剤が塗布されている側にはセロファンと粘着剤の間に下塗り加工がされており、粘着剤がセロファンから剥がれないようになっているのだ

言われてみれば当たり前のことだ

単にセロファンに粘着剤を塗って巻重ねれば、見た目は似ているモノが出来上がるが、再度剥がして使うことは出来ないのだ

これらの工程もニチバンのセロテープの作り方に詳しく載っているのでご覧いただきたい

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さて、ここからは3Mのテープに話を戻してみよう

3M社のテープ製品は、それぞれが歴史と創意工夫、アイデアの宝庫だ

詳しい説明は「製品開発物語」をご覧いただくことにして先に進んでみよう

日本のオフィスで良く見られる白濁したテープ

これこそが3M社のメンディングテープ

この印に見覚えのある人はかなりいるとおもう

ツルツル、テカテカのテープしか知らなかった時に、このテープは驚きだった

テープの上から字が書ける!

文房具的に言えば必要から生まれた製品で、その名のとおり書類を「メンディング」(修繕)するためのものだ

セロファンテープよりも優れた点が幾つかあるのでオフィスで多く使われている

長期使用に耐えることと、貼りつけるとほぼ透明になるのが大きな特徴だろう

素材はアセテートで、半光沢に加工されたフィルムに粘着剤が塗布されている

真っ白いその姿はスマートだ

舶来っぽい雰囲気が漂っている

粘着剤の匂いも独特だ

お手元にある方はセロテープ®との違いを確かめてみていただくと、文房具への愛が更に深まることだろう

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今回のモチーフはとても身近な「テープ」を取り上げた

が、その生い立ちや逸話はワクワクするものばかりであった

3月の震災以降、なにか自信を失いつつある日本人だが、先達たちは焦土から復興して今の日本を作り上げた

モノづくりの原点に立ち返り、精一杯の知恵を絞り、目的に向かって目標を作りクリアしてゆく

自らへの戒めとして心に残る撮影となった

-+-

モチーフの持つ、「透明感」と「不透明感」そして「薄さ」を感じて欲しい

Love Stationery 020

先ずは今回の東北大震災で被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます

こんなタイミングでブログの更新なんてと思いましたが、元気な我々が頑張っている被災された方よりも意気消沈する

なんて事は、決してしてはいけない事です

自分たちの出来る事を精一杯やって、精一杯応援する

そして必ずや強い日本を復活するって気持ちで顔をあげていきましょう

++

落ち込んだ気持ちを好きなもので満たしてみましょう

少し元気になりますよ

さぁ、Love Stationery へようこそ

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第20回は「カッター」

我々が日頃お世話になってるカッターナイフだが、その種類は千差万別だ

用途に応じて様々なものが用意されている

そのすべてをここで紹介する事は出来ないので、普段使っているものをモチーフに選んでみた

中でも秀逸なのはロータリーカッターだろう

柔らかい布を切る事も出来る優れものだが、このカッターの魅力はその断面にある

切断するものに対して対象物を切り裂くのではなく、その刃を優しく押し付けるようにして切断するロータリーカッターは

対象物に余計な負荷がかからないので断面が盛り上がる事なく美しい

今では懐かしい作業の感じがするが、写真を台紙に貼る前にサイズを整えるために印画紙をカットする時に活躍したものだ

ただ普段使いでは、その特徴も汎用性の無さとして映ってしまう

となると登場するのはご存知のこの形だ

一番使うのは細いタイプ

様々なものを切るのに使われるので、机の中に1つは入っている事だろう

撮影のアシストをしていてケント紙を切る所が無く、仕方なく太ももの上でカッターを使ったら、下ろしたばかりのジーンズに跡が残ってしまったなんてバカな事を思い出した

次に使うのは、もっと刃が厚い最初に登場したタイプ

お気付きと思うが刃に幾本もの筋がついている

これこそが日本が世界に誇る技術の粋が詰まっている

今回のモチーフは OLFA カッターを使用した

まぁここには様々な物語がある

簡略化された内容はこちらの記事が解りやすいので参照していただきたい

刃物あそび「オルファとエヌティーのカッター どちらも世界初?」

本体だけでも魅力的なのだが、そそられるのは替刃だ

この束を見よ!ゾクゾクする

今まで一番上手にカッターを使っていたのは、壁紙の撮影でご一緒した経師屋さんだった

細いカッターを自分の指先同様に使いこなす職人技に憧れたものだ

その域には未だ達していない

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機能美を感じて欲しい

Love Stationery 019

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第19回は「液体のり」

液体のり

ペーパーレスが世間を賑わしてかなり経つが、どうも紙が消えたという話は聞かない

表示デバイスが有機ELの普及により紙と同様の扱いになるまで、紙の天下は続くだろう

などと仰々しい話は専門の方々に譲るとして、19回目にして登場したのは手に馴染みのある緩やかな存在だ

しっかり者でよく働く

それが今回のモチーフの「液体のり」である

液体のり

記憶の中にある糊との出会いは遠く遡る

我が家の近くに千躰荒神を祀ったお寺さんがあり、そこの門札を玄関などに貼るのだが、そんな時はご飯つぶを

こねて糊を作り使っていたのは小さいころの記憶だ

とは言え、通っていた保育園にご飯つぶを持っていくことはできないので文房具屋で買っていくことになる

黄色い蓋をとれば独特の匂いがする緑色のボトルやチューブに入った白濁したポテッとした糊

いわゆる「でんぷん糊」だ

東京の「ヤマト糊」と大阪の「フエキ糊」が国内では有名で、それぞれの地域性があるので認知度に差があるが

生まれも育ちも東京の自分には「ヤマト糊」に馴染みがある

(名前の「ヤマト」が「矢」と「的」であることに気付いたのは、それからかなり経ってからだったが)

専門学校の頃は緑の缶のペーパーセメントを使っていたが、就職してからはこの赤いキャップと友だちになった

液体のり

飴色の液体が行ったり来たりする赤いキャップのボトルはオフィス糊の双璧をなす

が、もう一方の看板であるスティック糊の出番があるかは定かではない

何故なら液体のりの持つ有機的な動きは観る者を飽きさせないから

そんな魅力満載な「液体のり」だが、何と言っても醍醐味は使い始めだ

液体のり

赤いキャップをとると、まだ使われていないスポンジキャップが現れる

さらにそれを外して中栓を外してスポンジキャップを元に戻せば準備完了

エンターテインメントの始まりだ

初めて使うときしかお目にかかれないツブツブに吹き出す糊たち

無数の泡を含んでキラキラした液状の宝石は、次第に一緒になり大きな塊となって落ちてゆく

仕事中にこんな事をしていたらドヤされるのだが、この瞬間はゾクゾクする

液体のり

実際はこんなにボタボタ使用することはありえない

特性のスポンジキャップの効果で適当な薄さに塗ることが出来るからだ

この「適当」という言葉が普遍性の肝だろう

適当に使えて適当に作用する

しかし、そのためには高度に適当な改良が加えられてきたのだろう

素直に頭が下がる

ありがとう

-+-

今回のモチーフはアラビックヤマト

液体のりでは国内シェアNo.1だ

馴染み深い商品を取り上げさせていただいた

実際の奇跡の瞬間は実は多く出会うことができる

スポンジキャップは水洗いして擦り切れるまで使えるし、キャップのスペアも中身の補充もできる

液体のり 液体のり

まさに最強のオフィス文具の一つである

-+-

粘りのある液体らしい部分と、ボトルの持つ雰囲気を感じてもらえたら嬉しい

Love Stationery 018

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第18回は「スケール」

自由曲線定規

以前「直定規」を取り上げたが今回の名前が同様の「定規」とは呼ばずに

「スケール」となっているのには、些か訳がある

我々は単に「直定規」「三角定規」などと呼んでいるが、英語表記になると

いわゆる「直定規」は「ruler」であり今回の定規たちは「square」となる

直定規は長さを測り規定するもので、正しい日本語では「物差し」だろう

それと異なり直線や曲線を引くための文房具が今回取り上げた「定規」だ

今回は第12回の「直定規」と区別するために「スケール」としてみた

一番なじみのあるのは三角定規だろう

三角定規

小学校からつきあい始めたが、最初は鉄砲のかわりに休み時間に活躍した

ただ、中学の製図の時間に三角定規の実用的な使い方を習ってからは見方が

ガラッと変わったと言っていい

組み合せで様々な角度を生み出す魔法の2つの三角定規

そしてその根底となる基準を定めるT定規

T定規

「一本のまともな線が描ければ喰いっぱぐれはない」とは消しゴムの時にも

書いた技術の教師の言葉だが、同じ事を亡き父にも言われた事がある

父は技術屋で高専を卒業して工学部の機械科に進んだ人だった

あまり褒められた息子ではない自分だが、手先は多少は器用で、製図作品を

区の作品展に出すから新しく書けと中学校から言われた事があった

お題は「Vブロック

夕食後に課題に取りかかる時、父がいろいろとアドバイスをしてくれたのは

単に良い思い出であるばかりか、職人気質の継承だったと言えるだろう

-

ほとんど直線で構成されているVブロックを書く時にはこんな雲形定規とか

雲形定規

メイン画像に使った自由曲線定規は使う事はなかったが、様々なニーズから

生み出されたスペシャリストである事は間違いない

-

今回のモチーフで新規購入は自由曲線定規と雲形定規だ

三角定規は使用感タップリの傷だらけだし、T定規に至っては高専時代から

父が使っていたものだ

前述の時に学校から借りてきたT定規をみた父が「家にもあるから今度から

借りなくてもいいぞ」と言われてときは、何とはなしに嬉しかった

母の物差しといい、父のT定規といい、我ながら物持ちが良いと思う

-

前回の輪ゴムと違い、あまり汎用性はないかも知れない

が、自分にとってはとても思い出深い道具たちである

Love Stationery 017

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第17回は「輪ゴム」

これを文房具として良いのかと思うくらいの芸達者が登場です

輪ゴム

一般に流通している輪ゴムの種類は想像以上に多い

JIS規格での代表的な寸法は折り径(内周の半分の長さ)は18mm〜70mm

実際はこれに輪ゴムの幅が加わるので、かなりの種類を入手することができる計算だ

輪ゴム

輪ゴムの素材には概ね天然ゴムが使用される

ゴムノキから採れるラッテクスと呼ばれる乳液を原材料にしているものが多い

殺伐とした色に乏しいオフィスにあって、アメ色の輪ゴムは、その自然素材100%の

質感から、そこはかとない安心感を与えてくれる

輪ゴム

様々な用途に使われる輪ゴム

長持ちさせるためには伸ばさないこと

そのままの状態であれば比較的安定しているが、一度でも伸ばすと劣化が始まる

自然素材ゆえに紫外線やバクテリアなどに生分解されたり、熱で溶解、液化する

今風に言えば、まさにエコな存在なんだろうか

輪ゴム

時代遅れと言われるかも知れない

しかし、無くなっては困る大事な道具

文房具という括りには収まりきらない用途の多様性を持つ愛すべき輪ゴム

シンプルゆえに、これ以上の発明がなされないと言っても、過言ではないだろう

柔らかで固いゴムの息づかいが感じられれば嬉しい

-+-

今回も産みの苦しみがテンコ盛り

単純な形が苦労の一因だが、最大の問題は「テンションをかけ続けなければならない」

ということだった

そう、ゴムなので伸ばせば縮もうとする

シンプルな機能だけに反応がアナログで経過を撮影するのが難しかった

まぁ楽しんで撮影しているので苦労も甲斐がある

Love Stationery 016

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第16回は「プッシュピン」

オフィスや学校で必ず使われている Pushpin

Pushpin

Pushpin clear

私の小さい頃は金属製のいわゆる「画鋲」が中心だったが、最近はこんな形が一般的だ

必要に応じて形が変化した代表格だ

機能的であり、且つ材質がプラスティックに変わったことで色もカラフルになった

ウィキペディアで見ると撮影に使用したものは「ダルマ型」と呼ばれるものらしい

Pushpin

Pushpin color

押して、摘む

そんな単純な機能をこの中に宿している

Pushpin

Pushpin green

大きく主張することはないが、いざという時は頼りになる

縁の下の力持ちを体現した存在だ

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プッシュピンとは罪な奴だ

必ず押さえつける相手に、その痕跡を残す

押さえつける場所にもだ

外された跡にまで「オレはここにいたんだ」と主張する

前回モチーフにした「Post it」とは大違いな肉食系だ

Pushpin

Pushipin red

群れで使われることは殆ど無い

デザイン用途として点描の素材として使われる場合は特殊だろう

大きな意味では単独で役立つ範囲は小さい

けれど、それぞれの役割上の意味はとてつもなく重要だ

孤高の存在

デジタル全盛、ペーパーレスと叫ばれて久しいが、孤高のプリマドンナの活躍の場は

まだまだありそうだ

Pushpin

Pushpin blue

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今回の撮影も今まで通りにシンプルなものにした

なにせ形が可愛らしいので余分なことは無駄だ

気合を入れればコピー用紙1枚の上にも立つことを実感した

役に立つ奴の普遍性は頭が下がる

Love Starionery 015

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第15回は「 Post it®」

ポスト・イット®

オフィス、自宅を問わず、また社会人、学生を問わず使われている文房具の代表である
その誕生は1969年の接着剤を発端とし、1977年の試作品までの長きに渡る
が、そこにはセレンディピティの代表的エピソードとも言われる物語があった

弱い接着剤と本の栞を結びつけた発想力は素晴らしい
それまでの葛藤はあっただろう
使いものにならないものの開発者と言われたかも知れない
成果の上がらない研究は切り捨てられる対象だったのかも知れない

しかし

結果は世界的に有名な商品となって役に立っている

逆に言えば、この世の中に生み出されたもので無駄な物など無いのだ
発想力をフル活用し、柔軟な観察力と、鋭敏なアンテナを張り巡らせたならば、この
ポスト・イット®以上の発明も夢ではない

今回はそんな単純な、でも夢溢れる文房具を取り上げてみた

さて、撮影にあたって商品を探しに行ったところ、種類の豊富さに驚いた
昨今のワークシーンに合わせた、剥がれにくい商品( PC のモニタの枠などに使用を
すると今までの商品ではすぐに剥がれてしまう)や、見出しにするためにデザインが
されたもの等、色も形も様々だ

ポスト・イット®の横面

実は自分自身は付箋をあまり使ってこなかった
学生時代の教科書もマーカーのラインと落書きはあるものの、付箋を多用していない
PC もモニターの周りはすっきりしたものだ(デスク自体は密林のごとくモノが散乱
していて他人に見せられない状況だが)
が、改めて使ってみると心地良い部分も見つけられた
マーカーのように書いてしまったらおしまい。ではなく、動かすことが出来るゆえに
進捗度合いを再設定できる
大きなものは、かなり長い文章もメモることが出来る

とは言え気に入ったからと、使いすぎると密林のようになってしまうだろう
気をつけなければ

Fish eye

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今回の撮影もシンプルに行なった
決まった法則で作られているので敷き詰める事は楽しい作業だった
色もビビッドなものから淡いものまで、見ていて面白い

身近な優れもの
アイデアの勝利

見習いたいものだ

Love Stationery_014

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第14回は「Gペン」

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なぜ「G」なのかの論議は横に置いて、プロツールの代表格であるGペンの登場だ

漫画を描く方でGペンを知らない人はいない
が、一般の方でGペンを知らない人は多くいる(私の妻もそのなかの一人だ)

いつの頃に出来上がったのかは不明だが、必要に迫られて形を変えてきたのだろう
柔らかいタッチと豊かな表情を生み出すそのペン先は、機能美に溢れている

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シンプルだが無限の可能性を秘めたツールをモチーフにする事は、クリエイティブな
仕事に携わっている自分にとって、ゾクゾクする快感と感動と喜びだ

アナログツールへのノスタルジィと言われるかも知れないが、全ての仕組みに機械や
コンピュータが入り込んでいる現代において、それでも生き残っている道具に共通な
点は単機能で美しい事だ

そして人が介在する割合が多いことだろう

知恵の極み
ペン先には夢がある

-+-

今回の撮影ではペン先と墨汁を組み合わせた
これまた業界内ではスタンダードな組み合わせだが、一般にはマイナーな情報だろう

ペン軸は自宅にあったセルロイドのものだ

飯田昌之

Photographer|

飯田昌之