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2009/06/24 EVENTS EVENTS

世界最大のアートの祭典、ベネツィア・ビエンナーレ

舞台は、水の都ベニス!
舞台は、水の都ベニス!

2年に一度、ベニスで開催される世界最大のアートの祭典、ベネツィア・ビエンナーレ(La Biennale di Venezia, 53rd International Art Exhibition)。

第53回目を数える今年のテーマは「Fare Mondi」(英語で「Making Worlds」)。世界が作られていく過程(process of creation)を表現することをコンセプトに、アート作品を通じて、私たち人間が、そして世界が今どのような状態なのか、そしてどこへ向かって行くのかを指し示すことを目指しているそうです。

本特集では、史上最大規模で開催されたベネツィア・ビエンナーレのオープニングの様子をロフトワーク 林千晶がレポートします!

水の都ベニスがアートに包まれる

ベネツィア・ビエンナーレは、毎回、参加各国がその時のアート業界の第一人者をコミッショナーとして登用して展示アーティストを選出し、自国の文化芸術を競いあう、いわばアート業界におけるオリンピックです。

作品展示は、おもに3つの会場で展開されます。

メイン会場が「ジャルディーニ(Giardini)」
アメリカやイギリス、ロシア、フランス、イタリア、ドイツなど、いわゆる主要国のパビリオンが存在しています。日本のパビリオンもジャルディーニの中。いわゆる目抜き通りに面していて、日本人として嬉しい感じです(笑)

第二会場が「アルセナーレ(Arsenale)」。
もともと造船所だったところを巨大な展示エリアに変えたもの。毎回、その時々のアーティスティック・ディレクターのキュレーションで展示されるエリアです。また、中国やチリ、最近にわかに注目を集めているアラブ各国など、ジャルディーニにパビリオンをもっていない国の展示はここで見ることができます。

そして、3つめの会場が、ベニスの街中全体!シンガポールやメキシコなど、たくさんの国がベニスの街中に面白いスポットを見つけ、独自の展示を展開していました。

行列に並ぶのは、日本人だけじゃないんですね
行列に並ぶのは、日本人だけじゃないんですね

この3つのレイヤーでベニスの街全体がアートで包まれるわけです。ベニスという街の適度な小ささが逆に一体感を醸成していて、どこを歩いてもアートを楽しめる感覚がとても魅力的でした。

ちなみに、今回私が見たのは、「ヴェルニサージュ(verinssage)」といわれる、一般公開に先立って開催される招待者限定のプレビューでしたが、それでもかなり混んでいました。人気のパビリオンに入館するために、セレブなアート関係者も平気で1~2時間、列をつくるという状況。

私はといえば、実は、人気のパビリオンはあまり見ないで終わってしまいました。今回のビエンナーレで金獅子賞を受賞したブルース・ナウマンのアメリカ館なんて、外観しか見てない。。残念(涙)。ですが、さすがにベネツィア・ビエンナーレ。賞を取った作品以外にも、すばらしい作品が数多くありました。ここで、個人的に印象的だった作品をご紹介します!

刺激的なインスタレーション

多様な作風で魅了する、ヤン・ファーブル

ビエンナーレの中で一番「すごい!」と思ったのが、なんといってもヤン・ファーブル(Jan Fabre)の作品。

よく見てみてください。これはコガネムシのような玉虫色に光る昆虫の羽根ですべて作られているのです! これが感動的に美しい。しかも後で知ったのですが、ヤン・ファーブルは「ファーブル昆虫記」で有名なジャン=アンリ・ファーブルのひ孫なんだそうです。このつながりが、面白いですよね。

ヤン・ファーブルの作風は多岐にわたっていて、人体を対象にしたアイロニーな作品も、これまた目を奪われる強さをもった作品でした。

奇妙な不動産ツアー? 北欧パビリオン

不動産ツアーを模したインスタレーションが新鮮だったのが、北欧のパビリオンです。建物自体が「売り出し物件」で、展示作品を「家主が残していった家財道具」という設定で、ガイドに案内をしてもらいます。作品の時間軸に鑑賞者が入り込むというところが面白い!

住人が慌てて出て行ったからお皿も洗っていない
住人が慌てて出て行ったからお皿も洗っていない

こちらは家主がプールで死んでいた、という設定…シュール!
こちらは家主がプールで死んでいた、という設定…シュール!

こちらが、ガイドの様子(vernissage.tv)
詳しいレポート(英語)とアーティストインタビューがvernissage.tvにありますので、興味のある方はご覧ください。

≫“The Collectors. Curated by Elmgreen & Dragset / Danish Pavilion / Venice Biennial 2009”vernissage.tv

圧倒的な迫力の映像作品

今、コンテンポラリーアート界で大人気のロシアの若手アーティストユニット、AES+Fの映像作品。

私は何も知らず足を踏み入れたのですが、360度パノラマで広がる映像の鮮やかさ、世界中の文化が融合された強烈な世界観に、目が釘付けになってしまいました。優れた作品の放つパワーは圧倒的です。

単なる動画ではなく静止画からのモーフィングを使っているらしく、不思議な未来感のある映像でした。描かれている世界も、黒人あり東洋人あり白人あり、ゴルフもあればテニスもあり、チャイナドレスも着物もあって、世界中の文化が融合されていています。

また、オーストラリア館で見たShaun Gladwellという若い男性アーティストの映像作品も印象的でした。道路で轢かれて死んでいるカンガルーを抱きかかえて、土にかえすという内容でしたが、オーストラリアの広い大地と青い空、カンガルーとバイクの男性のコントラストがとても美しい作品でした。

アートが発するポリティカルなメッセージ

政治や戦争をテーマに扱った作品にも、強く印象に残るものがありました。

メキシコ館のこの作品。これのどこがアートなの?と思って壁に書いてある説明を読むと、「ビエンナーレ期間中、メキシコで殺された人の血が混ざった水で毎日床を磨き続けます」と書いてあるではないですか。

殺人がいかに頻繁に起こっているかを表現するための政治的なメッセージ。展示室に足を踏み入れたとき、なんだか不気味なにおいがすると思っていたら、このせいだった! 一気に気持ちが悪くなってしまいました。

ロシア館のAndrei Molodkinの作品は、「国際紛争の裏には石油がある」ということを表現。チェチェン紛争で戦った兵士の血と石油を混ぜた液体が、ガラスの天使像の中を流れる様子を映像で映し出しており、静かな不気味さをたたえていました。

また行こう! 出会いと発見のベネチア・ビエンナーレ

生まれて初めて海外で着物を着たところ、街行く人たちから「ベッラ!」「ビューティフル!」と声をかけられました…海外で着物、いいですね(笑)
生まれて初めて海外で着物を着たところ、街行く人たちから「ベッラ!」「ビューティフル!」と声をかけられました…海外で着物、いいですね(笑)

最後にベネチア・ビエンナーレの面白さについて。それは展示作品の鑑賞だけではなく、世界中のアートに関心のある人たちが一堂に会し、情報交換できる「ネットワーキングの場」としての面白さがあるのではないでしょうか。

世界を代表するアーティストや建築家、評論家、そしてコレクターとしてのビジネスマンが集まり、ヴェルニサージュ期間中目白押しのオープニングパーティなどで近況を報告しあう。
私自身、3年前にアートバーゼルに行くきっかけをつくってくれたアートフェアー東京の山下さんや前田さんに会えたり、夢いっぱいの若手アーティストに会えたり、素敵な出会いがたくさんありました。

最後はサンマルコ広場の写真で締めくくります。歴史と文化が出会う街、ベニス。また行こう!

海と一体化するサンマルコ広場
海と一体化するサンマルコ広場

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