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2008/05/01 EVENTS EVENTS

『社会科見学に行こう』 小島健一さん個展をloftwork Groundで開催!

Ground にて、初のクリエイター企画イベント

写真集『見学に行ってきた。』(写真右)と『ニッポン地下観光ガイド』(アスペクト社 写真左)
写真集『見学に行ってきた。』(写真右)と『ニッポン地下観光ガイド』(アスペクト社 写真左)

さる、4 月28~30日の3日間、ロフトワークのイベントギャラリー&イベントスペースloftwork Ground(以下、Ground)にて、ロフトワーク登録クリエイターで、大人の「社会科見学」ブームの火付け役でもある小島健一さんの写真集出版記念イベントとして、個展「小島健一展」とトークイベントが開催されました。

今回の小島さんの企画は、Groundオープン以来からの、「クリエイターさんのリアルなクリエイティブの発信場所として、クリエイターのみなさんに有効活用してほしい!」というロフトワークの願いがはじめて叶ったものです。
開催前からメディアにも取り上げられ、幅広い層の「社会科見学ファン」100名あまりが集まる話題のイベントとなりました。

今回の特集では、小島さんの写真集出版イベント開催の様子をレポートします!

「見学」から発展した、写真家としての活動

ブームを巻き起こしたコミュニティ 「社会科見学に行こう」の設立者

「社会科見学」という趣味が高じて、2004年にmixiに社会科見学コミュニティを立ち上げた、小島さん。
地下の水路や工場など「1人では普段見ることができない場所」をみんなで見て、体感するという非日常体験が受け、コミュニティは人気が急上昇。20~60代に至る幅広い層から支持され、2008年現在で6000人が登録するコミュニティに発展しました。

その活動の独自性から、近年はmixi内だけでなくマスコミからも注目を集め、本の出版や雑誌への執筆、テレビ出演など活躍の場は多岐に渡っています。

写真家としての「視点」に注力した写真集と『小島健一展』

作動すると高圧の電流を放電するという、陽子前段加速器。現在は実験機としての現役を退いているそうですが、銀色の壁の中にたたずむ姿に、物々しい存在感を感じます。
作動すると高圧の電流を放電するという、陽子前段加速器。現在は実験機としての現役を退いているそうですが、銀色の壁の中にたたずむ姿に、物々しい存在感を感じます。

そんな、今話題急上昇中の小島さん。写真家として活動をはじめたのも、まさに社会科見学がきっかけで「見学したものを、見たまま・感じたままに記録に残したい」という思いから写真を取り始めたとのこと。その作品は見る人の好奇心を刺激し、思わず立ち止まってしまうほど印象的です。

写真集では、『社会科見学に行こう』の活動の中で撮影したものだけではなく、小島さん個人が「面白いと思ったもの」「記録に残したい光景」を集めたそう。
地下に広がる「巨大な神殿」のような地下水路や、まるで巨大要塞のような工場などの「小島さんのイメージ」を象徴する構造物の写真から、廃墟や植物など。普段の「社会科見学」では見ることができない、「アーティスト・小島健一」の視点をうかがわせるものも多く含まれているのが特徴。そのどれもが、リアルに迫ってくるシーンばかりです。

今回開催された個展では、写真集に収録された作品のほかに、ページ数の限界から収録することができなかった小島さんのお気に入りの作品など計40点が展示されました。

団塊の世代から若い女性まで、幅広いファン層がイベントに訪れました。
団塊の世代から若い女性まで、幅広いファン層がイベントに訪れました。

写真集誕生の背景を語る、トークセッション

個展最終日となった4月20日には、写真集の編集に携わったマーブルトロンの中西さん、石橋さんとともに、出版の背景と作品の見所を解説するトークセッションを開催。
「見学ナイト」などのトークイベントを定期的に企画し、自ら出演もする小島さんならではの軽妙なトークで、会場の「小島健一ファン」を魅了しました。

企画から1ヶ月で入稿、壮絶な出版スケジュール

マーブルトロン中西さんによれば、今回の写真集は企画が持ち上がってから入稿までの期間が、なんと1ヶ月だったとのこと。テレビや雑誌などで注目が高まりつつある小島さんの作品集をいち早く世に出したいとの気持ちから、異例のスピード出版をしたそうです。

しかし、短期間での制作とはいえ、初めて出版する写真集へのこだわりは並々ならぬもの。
1週間で5万点の写真の中から60点が厳選された、とのエピソードには、会場の誰もが驚きを隠せません。製版に関しても、小島さんの理想の色が再現されるまで、数回の刷りなおしを経て、ようやく本ができあがったとのことです。

出版までの1ヶ月間、苦楽を共にしたマーブルトロン 中西さん(写真左)、エディターの石橋さん(右)と小島さんは、息もぴったり。
出版までの1ヶ月間、苦楽を共にしたマーブルトロン 中西さん(写真左)、エディターの石橋さん(右)と小島さんは、息もぴったり。

五感で感じたものをリアルに再現する

SF好きや構造物好きなどのコア層を中心にセンセーションを巻き起こした、石井哲氏「工場萌え」。これを見て人工構造物の幻想的な美しさ、迫力に驚かされたひとも多いはず。
一方で、中西さんいわく、小島さんの場合は写真で工場や地下、土木現場などの構造物の美しさを表現するだけにとどまらず、「一歩中身に迫る」ということに主眼が置かれています。

被写体がどんな役割を果たしているのか、実際に働いている人たちから話を聞きだし、現場の空気を実際に肌で感じることで自らの知的好奇心を満たすのが、見学の醍醐味。
その精神は小島さんの写真においても貫かれており、現場で感じる音やにおい、小島さん本人が五感で感じたままを表現することを目指しています。
写真家の狙い通りに、その場の空気や温度までを感じさせるような臨場感を感じられるのは、その活動のルーツが「見学」という、あくまで体験することへのこだわりから始まっているからに他なりません。

「生と死」「人工と自然」「おびただしいもの」—被写体を見つめるアイロニカルな視点

社会科見学のみならず、<奇景アルバム>や<サイコトルチョック>などのWeb上での活動を通じて、「一風変わったことをやる人」というイメージがある小島さん。一方で、その作品の底流にあるのは、「生と死」という深いテーマと「おびただしいもの」へのフェティッシュな愛着だそう。

旧長崎刑務所。すでに取り壊されてしまったため、記録としても貴重な作品となった。このような廃墟の風景から、孤高の写真家としての小島さんの姿を想像することができる。
旧長崎刑務所。すでに取り壊されてしまったため、記録としても貴重な作品となった。このような廃墟の風景から、孤高の写真家としての小島さんの姿を想像することができる。

その着眼点は、繰り返し被写体となるモチーフにも表れています。
たとえば、人間の英知が集約された工場や地下施設などの構造物を撮り続ける一方で、廃墟にも惹かれる理由について「広大な自然を克服したはずの人口構造物が、再び自然に侵食されていく。そしてまた人間は自然を克服しようとする。そのせめぎ合いの様子がおもしろい」と語る小島さん。

また、「おびただしい数の根」によって木の養分を吸い尽くし、その木に成り代わることで成長する「がじゅまる」や、美しい花の根に毒を持ち、「死人花」との呼び名を持つ「彼岸花」など、「死」を髣髴とさせる「気味の悪い」植物にも魅力を感じる、と熱く語りました。
これらの写真は、「社会科見学の火付け役・小島健一」という一般化しつつあるイメージを超えて、被写体と孤独に向き合う「写真家・小島健一」の視点を表すものなのです。

彼岸花。強烈なほどに鮮やかな色合いと、「おびただしい」花弁。そして、美しさの影にある「毒」が小島さんの食指を動かした。
彼岸花。強烈なほどに鮮やかな色合いと、「おびただしい」花弁。そして、美しさの影にある「毒」が小島さんの食指を動かした。

その異形の姿に劣らない、おそろしげな生態を持つがじゅまる。空を埋め尽くすような枝葉が、ただならぬ雰囲気をかもし出している。
その異形の姿に劣らない、おそろしげな生態を持つがじゅまる。空を埋め尽くすような枝葉が、ただならぬ雰囲気をかもし出している。

このような、独特のユニークな視点と、親しみやすいキャラクターから、着実にファンを増やし続けている小島さん。
作品を見る人からの質問にも丁寧に応え、作品の背景などを熱っぽく語る姿を見ると、ますます小島さんの世界に引き込まれてしまいます。
見学のプロとしてだけでなく、写真家としての小島さんの魅力を最大限にアピールした今回のイベント。個展もトークセッションも非常に中身の濃いものとなり、好評のうちに終了しました。
これからの小島さんの活躍にも、目が離せません!

【メディア掲載】
「社会科見学の火付け役・小島健一「見学に行ってきた。」を見学に行ってきた」(2008/04/25 マイコミジャーナル)≫

Ground からクリエイティブをリアルに発信しませんか?

ロフトワークでは、クリエイターのみなさんによるクリエイティブのイベント企画に対して、無償でスペースを貸し出します。
「自分のクリエイティブをリアルな場で世の中にアピールしたい」「グループで集まって、新しいイベントを開催したい」
そんなみなさんの希望を、道玄坂の loftwork Groundで実現しませんか?
尚、Groundのご利用には、ロフトワークによる企画の審査があります。
詳しいことは info@loftwork.com までお問い合わせ下さい。

loftwork Ground 施設利用の詳細≫

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