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2012/04/27 INTERVIEWS INTERVIEWS

「粋」をまとうテキスタイル | 富田染工芸 – Tokyo Crafts & Design

見たことないくらいチャーミングな柄、すべて手染めの着物柄です

「着物は七五三か成人式に着たぐらいで、ほとんどなじみがない」という方、多いのではないでしょうか。

着物を着ている人を見ると「素敵だな」とは思いつつも、普段の生活ではなかなか着る機会がないのも事実。また、お店で見る着物は花鳥風月や絞り染めなど、洋服ほど柄のバリエーションがないようなイメージもあります。

しかし、今回ご紹介する「東京染小紋」をみれば、そのイメージは一変するかもしれません。
東京染小紋には実に多種多様な柄があり、江戸時代から昭和初期にかけて人々のおしゃれを支えてきました。中には、動物柄や道具や縁起物を模した柄など、今ではなかなかお店で見かけることがないような、ユニークな柄もあったようです。

4月、西早稲田で伝統工芸品である東京染小紋の染めをつづけている富田染工芸で、Tokyo Crafts & Design2012 に応募するデザイナー向けの工房見学会が開催され、数々の珍しい小紋の生地や型紙を見ることができました。

本特集では、東京染小紋のユニークな柄を紹介しながら、着物の柄がどのようにして染められているのか、その技術についてお伝えします。Tokyo Crafts & Design2012 に応募するみなさんも、応募の予定がない方も、「染小紋」の奥深さと面白さを覗いてみませんか?

>> Tokyo Crafts & Design2012 について詳しくはこちら

>> べっ甲でものづくり | 大澤鼈甲 工房見学レポート


(文:ロフトワークドットコム 岩崎諒子)

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柄は全部で12万点、博物館をもつ染物工房

富田さんの工房といえば、こちらのブログでも紹介されている通り、長い歴史の中で受け継がれてきた江戸小紋や江戸更紗などの柄の型紙12万点を保管しています。

保管されている型紙の中には、200年前に作られた大変貴重なものも含まれており、その豊富かつ貴重な型紙によって「東京そめものがたり博物館」という博物館を運営できるほど。

通常の製品で使われるのはごく限られたベーシックな柄だそうですが、富田さんの工房に保管されている膨大な量の型紙の中には、ユニークな柄がたくさんあります。今回のTokyo Crafts & Design では、富田さんの工房に眠っている柄たちを活かした新しいグッズやプロダクトがうまれることが期待されています。

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エビ柄やキリン柄も! 昭和のおしゃれ小紋

工房見学では、富田さんにたくさんの小紋柄サンプルを見せていただきました。ごく一部ですが、その中で気になった、おもしろい柄をご紹介します。

小紋は生地全体に細かい模様が入っていおり、江戸小紋はくっきりとしたパターン柄と2~3色で刷られることが特徴です。もともとは大名の裃柄として使われていたものですが、庶民がこれをまねて、身近にある物を細かい模様にしてお洒落を楽しんだと言われています。

こちらの小紋の柄は、エビやカニ、動物やはさみ等をモチーフにしたおしゃれな柄。東京都美術館・学芸員の川越さんに訊いてみたところ「おそらく、昭和初期の東京で使われていた『東京おしゃれ小紋』では」とのことでした。
まるで北欧デザインのような素朴でかわいらしいテキスタイルが、日本でもつくられていたことに驚きです。

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また、こちらは江戸更紗。小紋とは異なり、多色で表現され線に微妙な「にじみ」がみられるのが特徴です。鮮やかな草花文様や、動物、また更紗の起源となるインドをイメージしたイラストなど、さまざまな図画が描かれています。全体的にエキゾチックなイメージです。

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着物づくりと染め、基本の「き」

着物がどんなものなのか、なんとなくイメージはできるものの、その生地がどのような素材で、どうやってつくられているかということまではわからい方も多いのでは?

今回の工房見学では、着物にあまりなじみがないデザイナーに向けて、富田染工芸の代表である富田さんが着物と染めの基礎知識についてわかりやすい解説をしてくださいました。

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着物の生地(反物)のサイズは決められており、幅が36~40cm(小巾)、長さが13m(古いものであれば12m)でほぼすべての反物はつくられています。着物はこの小巾の反物を裁断したものを組み合わせてできているそうです。(つまり、幅が40cmを超える柄は見きれてしまいます)

また、仕立て済みの着物を染めることはできず、原則として糸を染める(先染)か、生地を染める(後染)のいずれかの方法をとります。もちろん、染小紋は生地を染める方法です。

ちなみに、富田さんの工房で染める生地の素材は、原則として、一部の大量生産品を除いてすべて「絹」だそうです。



ポイントは「いかに染めないか」― 染めの技法と工程

絞り染めや友禅染など、染めの技法にはさまざまなものがあることはご存じのとおり。では、これらの染めは何が違うのか、ご存知ですか?

染めの技法は、大きく分けて4つに分類されます。


染めにおいて重要なのが「防染(ぼうせん)」です。染めの技法の違いは、「いかにして染めない部分をつくるか」の違い、つまり、どう防染するかの違いだということができます。

では、染めない部分をつくるとはどういうことか? 富田さんは友禅染の工程を例に説明してくださいました。

友禅染の例を見ると、糊が地色と絵の色とが混ざり合うことを防ぐため、細やかで美しい柄を表現することができます。友禅では糊による防染(糊防染)を施しているということです。小紋も友禅と同じく糊防染による染めの技法であり、この防染技術の発達が日本の染物を大きく飛躍させたそうです。

ちなみに、蝋結(ろうけつ)染めは「蝋防染」、絞り染めは糸によって生地を絞るため「糸防染」と呼ばれ、それぞれ、染料に染まらなかった部分が独特の柄を生みだしています。


江戸時代からのこる型紙たちに、デザインの息吹を

日本人でも着物を着る人たちがどんどん減ってしまっている中で、着物文化や高度な染めの技術、そして、貴重な型紙たちを未来に残していきたいと富田さんは考えています。

テキスタイルデザインとしても十分におもしろい小紋や更紗の柄たち。アイデア次第では、着物になじみがない人たちにとっても魅力的なプロダクトやグッズがきっと生まれるはず! Tokyo Crafts & Design 2012へのご応募をお待ちしています。

富田染工芸 工房見学 | フォトギャラリー




東京都美術館 | Tokyo Crafts & Design 2012~伝統工芸品デザイン募集

Tokyo Crafts & Design では、東京にある41の伝統工芸の技術を活かした、新しいデザインを募集します。
デザインコンペティションによって、ユニークな感性を持つクリエイターと伝統的なものづくりの「技」を担う職人との出会いをつくりだします。そして、これらの取り組みを通じて、新しい「東京の伝統工芸」を生み出すことが、プロジェクトの目指すゴールです。

>>Tokyo Crafts & Design 2012 公募概要


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