芸術祭とクリエイターの出会い —Roooots クリエイターインタビュー特集!!
Roooots 越後妻有の名産品、15種類29アイテムが生まれた背景

全国のクリエイターが、越後妻有の地元の方々とともに「協業」することで、地域の魅力を再発見・再解釈し、世界に発信していくことを目指した名産品リデザインプロジェクト「Roooots」。
この、ロフトワークと29人の登録クリエイターの皆さんとの手によってリデザインされた、「Rooootsブランド」の名産品の数々が、『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』において大変な人気を博しています。生産が追いつかない人気商品も多く、中には、前年の売り上げを十数倍上回っているものも。
本特集では、Roooots製品のデザインを生み出したクリエイターの方々からの生の声を通じて、Rooootsブランドの魅力と人気の秘密をご紹介します!!
デザインでシンプルにつたえる、里山と名産品の魅力
学生クリエイター ミッチェル (田邉明寛) さんに訊いてみました

田邉さん
今回、BMWのデザインのほか、原酒かすてら、みらい納豆、妻有ブレンドコーヒーといった名産品のパッケージのデザインを担当した、ミッチェルさんこと田辺明寛さんは、実は京都精華大学でプロダクトデザインコースを先行する大学生。
Rooootsプロジェクトを通じて田邉さんが見たもの、感じたものとはなにか?ちょうど、グッドデザインEXPOの準備ただ中にいた田邉さんに、お話を伺ってみました。
まさか自分がBMWのデザインに採用されるとは…

LW:BMWのVIPカーデザインは、ロフトワークの登録クリエイターの方々の中から、あらかじめ選出された6名の間で行われたコンペを通じて、採用されたんですよね。採用されたとき、どんな気持ちでしたか?
田邉:素直にうれしかったです。他のプロのクリエイターの方々の中で、まさか自分が採用されるとは思わなかったので。
LW:どんなことをイメージしてデザインしたのですか?
田邉:コンペのお話をいただいたとき、プロダクトの業者さんとの打ち合わせで現地に訪れた後だったので、まず越後妻有の里山の景色のイメージが浮かんだんです。越後妻有は山も建物もあまり高くなくて、視界の中で空の割合がすごく多いんですね。大地の芸術祭と空が一緒になって、風を切って走る姿はおもしろいんじゃないかと思ったんです。それと、自分の作風を押すよりも、車体の形や色を活かしてデザインするよう、心がけました。
黄色をベースカラーにするということは初めから決まっていました(原酒かすてら)

人気商品につき、売り場に出してもすぐになくなってしまう
LW:では、次に田邉さんがデザインを担当した、プロダクトのデザインについて聴かせてください。
まず、「原酒かすてら」は、リデザインされたことで非常な人気を博した商品のひとつです。デザインで「原酒×カステラ」というイメージを伝えるのに、さぞや苦労したのではないかと思いますが、いかがでしたか?
田邉:すごく・・・難しかったですね(笑)。特に、日本酒という特徴と、まろやかなカステラの味の両方をどうやって伝えるのか、考えるのが大変で。「原酒かすてら」は、日本酒の香りとやわらかいチーズケーキのような感触が特徴で、とてもおいしいんですね。でも、以前のパッケージのデザインは、毛筆でこてこての「日本酒」というイメージだけが押し出されていて、そのおいしさが伝わりにくいと思いました。
実際に自分がデザインしてみて、日本酒の「和」と洋菓子の「洋」というイメージのバランスをとるのに苦労しました。また、パッケージの形状と、中の金色の箱は決め打ち、巻紙だけをデザインするという制約条件も、大きな課題でした。

リデザイン前のパッケージ

リデザイン後のデザイン
LW:デザインでこだわったところはどんなところですか?
田邉:内箱の色が金色で、また、さらに中のカステラが黄色だったので、黄色をベースカラーにするのがベストということは、初めの段階で決まっていました。食べ物の場合、中身の色を表面に出してあげると、おいしそうに見えるといわれているので、そこは絶対に推そうと思ったんです。
そして、ラベルの形が「お酒の雫=日本酒」のイメージを、つながっている「かすてら」のロゴは、くちどけ感を表現しています。そして、黄色と白のコントラストで、和と洋のバランスを整えました。
それと、これはロフトワークのディレクターの方と相談して決めたんですが、仕掛けとして巻紙の裏を真っ赤にしました。これは開けたときに新鮮な驚きがあるのと、お祝いなどのめでたい席や、高級感のイメージにもつながる、という狙いがあります。
LW:確かに、以前のデザインよりも高級感も増して、おいしそう。手に取ってみたくなりますね。
あえて極限まで要素を削って、中味に信頼感がわくデザインに(みらい納豆)

LW:みらい納豆は、すごくシンプルな印象ですね。審査員の佐藤 卓さん、秋田 寛さんらの評価が高いデザインでもありました。
田邉:初めから「シンプル」という方向性はすんなり出てきましたね。有機栽培、天然の納豆菌、自然のおいしさという要素を伝えるために、あえて極限まで要素を削って、中味に信頼感がわくデザインにしました。「みらい納豆」の「納豆」の文字は粘り気を出したかったのですが、いいフォントがなくて、自分で手書きしました。関西では、納豆自体あまり食べられないのですが、特に三角の納豆は珍しかったので、新鮮な気持ちでデザインできたと思います。

LW:コーヒーのデザインは、どんなところを工夫しましたか? お花がとってもかわいいのですが。
田邉:コーヒーが花のパッケージって、既存のイメージからはだいぶかけ離れてますよね(笑)。だいたい豆のイメージがあって、茶色や暗い色がメインカラーというのが定番なんですが。
コーヒーは、もともと公募で審査員賞をいただいた羊羹のデザインが業者の方に好評で、そのテイストを踏んでほしいという要望をいただいていました。それぞれのブレンドに花の名前が付いていたのと、実際にコーヒー飲んでみても花のようないい香りがしたので、花をデザインを中心に持ってくることにしました。
ただ、創ってみて難しかったのが、花を使うとハーブティーの方にイメージがよりがちになってしまうということ。コーヒーらしさを出すために、黄色がかった紙を採用し、コーヒーのマークや文字色も茶色に統一しました。また、文字は丸ゴシックを使うことで、まろやかさを出しました。
デザインが立体物になり、店頭に並び、人の手に渡っていくことに、素直に感動

田邉 「作っている間は頭を抱えてしまうんですが、出来上がってみると、デザインって楽しいって(笑)」
LW:では、最後に、Rooootsに参加してみた感想を教えてください。
田邉:僕が担当した商品はどれも中身の品質は高かったので、「デザインでもっとたくさんの人の手に取ってもらえるはず」という気持で取り組みました。実際に流通する商品をデザインしたのは今回が初めてで、商品のよさを伝えられるかどうか、自分の真のデザイン力が試される機会に、期待半分、不安半分でした。
商品のパッケージにおいて一番重要なのは、自己表現ではなく、商品の中身をよりよく見せることができるかどうかだと思っています。このパッケージデザインでおいしさが表現されているのか?これで安心して人の手にとってもらえるのか? この素材でいいのか?・・・など、常に自分のデザインした物を疑いながら最終デザインへの詰め作業には、最後まで悩みぬきました。
今は、こうして自分が作ったデザインが立体物になり、店頭に並び、人の手に渡っていくことに、素直に感動しています。これで商品の売れ行きが上がってくれれば、本当にいうことなしです(笑)。
LW:本日は、ありがとうございました!
大学卒業後は、プロダクトとグラフィックの境界線を越えて、クリエイティブをトータルでプランニングできるような仕事がしたいと語る田邉さん。これから、どんな面白いプロダクトを生み出すクリエイターになるのか、将来が楽しみです!!
Roooots 参加クリエイターからの声
Rooootsに参加してくださったクリエイターのみなさんに、ショートインタビューをしてみました。

Gustav Klim ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
アートトリエンナーレのサイトをめくるとメッチャ面白そうやった。十何点か応募させてもらったけど、最後の方は夢中になって作りまくってた。なんか閃いたら作らんとおられず、何べんも徹夜した。
最後の方はメッチャ沢山の人の作品がアップされてて、これええなぁと思うのも沢山あったから、もう僕はええわという気持ちになった。
そして、忘れかけてた頃に『4点入選した』というメールを頂いてびっくらこいた。

Q2. 制作の中で大変だったことは何ですか?
越後妻有(新潟)まで、生まれて初めてJRの窓口で切符買って、どの電車乗るか調べて、一人で降りるべき駅で降りて、会うたことのない農舞台の桑原さんに会うまで、ドキドキやった。
全く違うタイプの製造者の人達とお会いして、全く違う緊張感を頂いて、デザインを何遍もやり直したり普通の印刷の話とは違うパッケージ用印刷について、生まれて初めて直接印刷会社さんとやり取りしたり、色校正ですったもんだしたり、なんか妙に責任の重さを妄想して、へとへとになった。
なにかあったら、責任取って腹切りますみたいな気持ちやったけど、農舞台の桑原さんがほんとに暖かくサポートしてくれはって、支えられた。

Q3. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
焼きかりんとうをワークセンターなごみさんが送ってきてくれはりました。黒い箱に入ったカラフルな四個、最初見た時は、何これ、メッチャ格好いいと思った。
そして改めて一箱づつ手にとって見てみると、まるで小学生がクレパスで描いた絵をセンスのいい先生がスキャンして箱に仕上げたみたいに素朴で、もう可愛くて可愛くて堪らなくなった。5cm立方の可愛いサイコロみたいで、多くの方がこの可愛さを感じてくれはって、買ってくれはってんな、ほんまに嬉しいことやな、と思った。
これを選んでくれはった審査された人達の慧眼にも改めて感じいった。そして、使い捨ての既製品やない、一品モノに近いことも時には重要なんやろなぁと。全ての人に幸多かれと祈りたい気持ち。
山ぶどう羊羹や風呂敷やTシャツが届いたら、またどんな感慨が生まれるんかなぁ、待ち遠しいなぁ、楽しみやなぁ、と思う今日この頃です。

黒柳 潤 ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
とても嬉しかったです。越後妻有の大自然と、酒造さまの努力によって産み出された、高い商品力をもったプロダクトに関われて幸せでした。
そして素晴らしい人々との出会いがあり、とても勉強になりました。
Q2. 特に記憶に残っていることは何ですか?
コンセプトモデルの段階から、地に足をつけた実際のプロダクトへの過程は、緊張感があり、とても楽しかったです。
一番記憶に残っている事は、販売開始後に酒造様を訪問した際、喜んで頂けていることを直接確かめられたことです。はじめて仕事が一段落ついたことを実感しました。
Q3. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
様々な方々の気持ちや思いが多重層に重なって、初めて実現できたと思います。その方々への感謝の気持ちと、更に良いものをつくっていきたいという自分のモチベーションが高まりました。ありがとうございました。

terai mariko ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
以前から興味のあった越後妻有トリエンナーレに、こんな形で関わることができたのが作家として何より嬉しいです。越後妻有を楽しんだ方それぞれの思い出や、だれかへの楽しい記憶のお裾分けとしてのお土産になれていたら良いと思います。
Q2. 特に記憶に残っていることは何ですか?
新潟に現地視察に行かせて頂けたことです。はっか糖の関口製菓さまの工場を実際に拝見して、パッケージをデザインする責任と楽しみな気持ちが大きくなりました。それから新潟はとても空気がきれいで広くて、へぎ蕎麦が美味しかったです。
Q3. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
ふろしきは、自分の絵が大きく、しかも色がとても発色良く出ていたのに感激しました。紙ではないものに印刷したことはなかったのでとても新鮮でした。
はっか糖はとても美味しいお菓子で大好きです。そこに少しだけ華やかな印象を加えることができたかなと思いました。

トリゴエ モトコ ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
今回、できることなら全部門に応募してみよう!と思っていましたが、なかなか制作できずにふろしき、てぬぐい部門に応募してみました。それまでは芸術祭があることなどまったく知らなかったので、デザインが採用されてから、この芸術祭の壮大さや地元の方々の大きな力があってこその大地の芸術祭なのだと実感しました。
8月に現地に行ったときには私もふろしきで芸術祭に参加させてもらっているのだなぁ・・とニンマリしてしまいました。
Q2. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
現地で販売されているのを見たときは、とてもきれいなふろしきにして頂いて、ありがたい気持ちでいっぱいになりました♪ 指定した色も思ったとおりでカエルもくっきりしていて大満足です。
みずいろバージョンとみどりいろバージョンと二種類作っていただいたのですが、特にみどりバージョンが人気があったようで、たくさんの方にこのカエルふろしきを手にとってもらえたかと思うと嬉しくてたまりません。

小技 ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
参加したことで、越後妻有へ行くきっかけになって良かったです。
Q2. 制作の中で大変だったことは何ですか?
アートとデザインのバランスです。
Q3. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
発色がとても綺麗でした。多くの人に使ってほしいです。

chan ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
3アイテム応募したのですが、まさかこれが入賞するとは、、、。未だに信じられません。「キョロロ」で、自分のデザインした手ぬぐいが販売されているのを見て、お~夢じゃなかったんだ!というかんじでした。
私のデザインに私の知らない多くの方が関わっていただいているかと思うと、本当に感謝でいっぱいです。
Q2. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
スタッフの方で、首に私の手ぬぐいをまいてお仕事されているのをみて、感慨深かったです。

YUTAKA ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
『大地の芸術祭』への参加、そして地元十日町への貢献を考えていましたので、Rooootsに参加できたことはたいへん光栄でした。
これを機に自分のキャリアを生かして、ファッション、音楽などで参加、貢献していくつもりです。
Q2. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
「キナーレ」で初対面! 初めて自分の服がショップで販売された時のようにドキドキ、ワクワク…
自分のてぬぐいを接客、販売したいくらいでした(笑)

栗生ゑゐ子 ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
アイディアを出す際、お土産品や名産品だけでなく地域の特性や風習、故郷の原風景などに思いを巡らせることで、「自分自身にとってのふるさと」についても考える契機となりました。
Q2. 特に記憶に残っていることは何ですか?
本命(Tシャツ)と大穴(てぬぐい)の2つのデザインを提出したところ、まさかの大穴が選出されたこと。

カモ ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加してみた感想を教えてください。
芸術祭は違う世界のものだと思っていたので、参加できて、しかも商品になって、ぐっと身近にかんじました。
Q2. 制作の中で特に記憶に残っていることは何ですか?
選んだ色が布にどういうかんじで刷り上がるのかどきどきでした。
自分のデザインがかたちになるのはほんとうに楽しいと思いました。

MON ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
恥ずかしながら、「大地の芸術祭」をはじめて知り、規模の大きさに驚くばかりでした。
3年に1度の大イベントに、参加することが出来て、本当に光栄です。ありがとうございます!
Q3. でき上った商品を、実際に見てみての感想をお願いします。
本当にうれしかったです。実際に新潟に行って、販売されている様子も見に行ってきました。
あまりにもうれしくて、サンプルをいただく前に自分で購入して、身内に配ったくらいです。

中村葉子 ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
グッズ展開を考えるのがおもしろかった。
Q2. 制作の中で大変だったことは何ですか?
行った事のない場所をイメージするのが難しかった。でもそのおかげで想像の世界を広げやすかったかも。
Q3. 特に記憶に残っていることは何ですか?
とってもかわいい!自分の好きな世界が商品になる事で他の人にも体感してもらえる事がとっても嬉しい。

ぴかりかな ≫ポートフォリオ
Q1. Rooootsに参加した感想を教えてください。
これからの創作活動へのモチベーションがあがりました。貴重な機会をつくっていただき、関係者の方々ありがとうございました。
Q2. 特に記憶に残っていることは何ですか?
デザインする際、特に記憶に残っている事は柄のカラー選択です。風呂敷としてだけではなく、スカーフや手提げ等存在感のあるファッションの脇役としても使っていただく事ができるように、あえてモダンなカラーをチョイスしました。
クリエイターは越後妻有のパワーに、越後妻有はクリエイターのエネルギーに
今回、ほとんどのクリエイティブが、クリエイターの皆さんの有志によって制作されましたが、皆さんにとって、普段のお仕事の傍らで地域の方々と一緒に進めるデザイン制作は、決して楽なことではなかったはずです。
そんな中、クリエイターの方々のインタビューから見えてきたのは、芸術祭に対する思いや地元の人々との心の交流、そして、クリエイターとして芸術祭に参加できたことへの喜びでした。
みなさんの声を通じて、地域を、そして日本全体を元気にするクリエイティブの可能性を実感すると同時に、参加してくださったみなさんに対し、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
みなさん、ありがとうございました! そして、お疲れ様でした。
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