博報堂のクリエイティブディレクターとして数々のユニークな広告を世に出してきた、須田和博(すだ・かずひろ)さん。これまでに「ブカツの天使」(ポカリスエット/大塚製薬)や「初音ミクのニコニコメッセの歌」(マイクロソフト・ニコニコメッセンジャー)など、インターネット時代の新しい広告の形を提案することで、日本の広告界をリードしてきました。また、2009年カンヌ国際広告祭で受賞した「ミクシィ年賀状」は、須田さんが携わった大成功プロジェクトの一つです。今回、「LOVE LOCAL:地元CMコンテスト」で審査員を務める須田さんに、公募で期待する作品について、さらに、これからの広告が進むであろう新たな方向や、…

特集

2010/01/25 INTERVIEW INTERVIEW

[LOVE LOCAL] 須田和博が語る、広告新時代のクリエイティブ(1/2)

博報堂のクリエイティブディレクターとして数々のユニークな広告を世に出してきた、須田和博(すだ・かずひろ)さん。これまでに「ブカツの天使」(ポカリスエット/大塚製薬)や「初音ミクのニコニコメッセの歌」(マイクロソフト・ニコニコメッセンジャー)など、インターネット時代の新しい広告の形を提案することで、日本の広告界をリードしてきました。また、2009年カンヌ国際広告祭で受賞した「ミクシィ年賀状」は、須田さんが携わった大成功プロジェクトの一つです。

今回、「LOVE LOCAL:地元CMコンテスト」で審査員を務める須田さんに、公募で期待する作品について、さらに、これからの広告が進むであろう新たな方向や、インターネット時代での動画クリエイティブのあり方などについて伺いました。

ドラえもんの道具のようにアイデアを形に

今や日本の広告業界を代表するクリエイティブディレクターの須田さんですが、はじめから「広告がやりたい!」という意気込みがあったわけではなかったと語ります。

「ずっと、ちょっとしたひと工夫みたいなアイデアで、おもしろいモノを作りたいなと思っていたんですよ。小学校の頃、ドラえもんが大好きだったんですが、ちょうど、ドラえもんが道具を出すのと同じようなイメージです。大人になっても、この感覚は変わりません。
高校・大学時代は、8mmフィルムでアニメや前衛映画のような作品を作っていました。多摩美の4年生でいざ就職というときに、たまたますごく好きだった豊島園の広告(『プール冷えてます』などが話題だった)を博報堂が担当していると知ったので、それで博報堂の入社試験を受けてみることにしたんです。」

博報堂に入社後、須田さんはラッキーにも、自身が影響を受けたという当時の豊島園の広告を作っていた大貫卓也さん(元博報堂のアートディレクター、現大貫デザイン代表)のアシスタントを経て、7年間にわたってアートディレクターとして紙メディアを担当したのち、さらに7年間にわたりCMプランナーとして映像の世界に携わったあと、ここ5年間はウェブ上でのインタラクティブな広告の世界で活躍されています。

リアルな面白さ・エネルギーを感じる地元CMを

今回の「LOVE LOCAL」は自分の生まれた町や好きな町のCMを作ろうという主旨でコンテストを開催するのですが、須田さん自身はどんな地元CM作品が見たいですか?

「何か面白いものを見せて欲しいと思いますね。大変だとは思いますが(笑)。」

うーん…もうちょっと詳しく聴かせていただけますか?

「よく地域おこしといえば、『水戸の納豆』『新潟のコシヒカリ』といった地元ならではの特産品や名勝景勝を取り上げたりしますよね。思い付きですが、僕がつくるんだとしたら、そこから視点を変えてみて、無名のシロートパワーに着眼するというのもありかなと思います。近所の変わったおじさんとか、道路沿いに並んだ変なオブジェとか、謎の喫茶店とか、現地を歩いているからこそわかる、エネルギーや異彩を放っているものってありますよね。
都築響一さんの『ROADSIDE JAPAN—珍日本パア紀行』のようなノリで、名物・名所じゃなくてもリアルにエネルギーやパワーを感じさせるモノを使ったCMは面白いかもしれませんね。」

なるほど、クリエイターの地元ならではの発掘力とユニークな着眼点が鍵になりそうですね。

たくさんの人に見てもらえて初めて「公開」といえる

数多くのコンテンツが存在するWebの世界で、たくさんの人に作品を見てもらうというのは容易ではない
数多くのコンテンツが存在するWebの世界で、たくさんの人に作品を見てもらうというのは容易ではない

YouTubeやニコニコ動画など、インターネット上に数多くの動画共有サービスが生まれたことで、一般の私たちも動画コンテンツを簡単に配信できるようになりました。高校生の頃から自主映画を制作し、また博報堂ではCMプランナーとして映像作りにも携わってきた須田さんに、ますます多様化を遂げるインターネット動画がどこへ向かっているのかを訊いてみました。

「Webの登場によって誰でもすぐに映像作品を公開できるようになったことは、一定の評価ができることだと思います。ただ一方で、公開された作品をどうやってたくさん人々に見てもらうのか? という課題も生まれています。」

かつては、権威ある映画祭やコンテストなどで著名な審査員が作品を審査し、受賞作品だけがメディアやイベント会場で公開されていました。映画祭やコンテストが若手作家の登竜門としての機能を持ち、これが客寄せの役割を担っていたのです。しかし、今はだれもが作品を公開できるため、それらのイベントの権威や効果が失われつつあります。かつてのコンテストが果たした、観客を呼ぶという仕事を、作家自らが時代に即した新しい方法で行う必要があるようです。

須田さんは、「視聴者が求めているのは、自分の役に立つ情報、または、見て『面白い』と感じるコンテンツのどちらかしかない」といいます。作り手は、常にこの課題と向き合わなければなりません。

「若いクリエイターのなかには作品をYouTubeにアップしている人もたくさんいるかと思うのですが、ではその次にどうするのか? という問題を真剣に考えてみる必要があるでしょうね。個人で作品を公開する場合は、たくさんの人に観てもらえるような工夫までして、初めて公開したといえます。
それに、インターネットでの時間感覚では、最後のオチがいくら面白いとしても途中で『ツマンネ』と思わせてしまったら、観ていた人はすぐにほかのサイトに移動してしまいます。見てもらえるということが、とても厳しい時代です。」

≫ひきつづき、須田さんに「使ってもらえる広告」について伺いました。

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『LOVE LOCAL:地元CMコンテスト』について、詳細はこちら▲
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