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2012/11/16 EVENTS EVENTS

ビジネスってクリエイティブ! 「DESIGN DIVE~ビジネスプランニングから考えるデザイン~」レポート [後篇]

ビジネスプランニングから考えるデザイン

2012年9月30日、loftwork Labで「DESIGN DIVE~ビジネスプランニングから考えるデザイン~」が開催されました。クリエイティブ×ビジネスプランニングをテーマに行われた今回のワークショップには、デザイナーやwebディレクター、翻訳家、大学生など定員いっぱいの約20名が参加。自己分析やトークセッション、グループワークなどのプログラムを通じて、ビジネスとクリエイティブ、そして自分自身との関わり方について考える1日となりました。(前篇はこちら

クリエイターがビジネスプランニングの力を鍛えるトレーニング・ワークショップ「DESIGN DIVE」。前半のレポートでは、

1.自分自身の課題を見つめる。
2.第一線のプロの話を聞く。
3.ワークショップの題材となる「東京ビジネスデザインアワード」の概要を知る。

というプログラムで構成されていましたが、いよいよここからが本番です!


WORK04個人ワーク:ビジネスプランの発想と発表
発想の空へとジャンプせよ!
自分だけのビジネスプランをつくる。

いよいよ実際のビジネスをプランニングしていくフェーズ。参加メンバーたちの目の前には、すでにそのヒントとなる3つのヒントがペタペタと貼られています。ヒントとは、自分の課題を記した「青い付箋」、「社会やデザインの課題」を記した「黄色い付箋」、「東京ビジネスデザインアワード」で気になったテーマを記した「ピンクの付箋」。まずは、これらのなかからそれぞれのジャンルでピンとくる一枚を選び、用意されたシートの上に三角形に配置していきます。

「今、みなさんの目の前には、解決すべきふたつの課題とひとつの“良い”と思える技術や素材が並んでいます。これから、3つの要素を結びつけて、ひとつの具体的な商品やサービスを発想してもらいます。肩の力を抜いてこの三角形を眺めていると、必ず上からすとんとアイデアが落ちてくる瞬間があります。ぜひその瞬間を楽しんでください。では、制限時間は3分!」とファシリテーターを務める「合同会社++」の安田さん。

「えっ~! たった3分~!!」

そんな泣きの気持ちがなかったといえばもちろんウソになるかもしれません。でも、そこはさすがにすでに「1分で」、「2分で」というタイトなワークを乗り越えている参加メンバーたち。戸惑う様子もなく、各々思考の海へとダイブ! 目を閉じて想像の翼を広げる人あり、一心不乱に筆を動かす人ありと、それぞれが実に頼もしい様子でした。

ちなみに、この時の個人的な状況を振り返るならば、僕の目の前に張られた付箋は「1.嫁さんを説得する力」(個人の課題)、「2.いろいろ無駄が多いんじゃない?」(社会の課題)、「3.水系はくり塗料」(気になる技術)の3枚。これらを眺めつつウンウンと唸っているうちに「残り2分」、「残り1分」と時間は経過……。ギリギリになってひらめいたアイデアが「企業ロゴを剥がせるクリアファイル」でした。

クリアファイルでどうやって嫁さんを説得できるのか。思考の道筋は今となってはさっぱりわかりませんが、この時は文字通り「すとん」と落ちてきたような感覚でした。

3つのテーマ。3分の制限時間。限られた条件のなかで目的を達成するためには、迷ったり、悩んだり、足踏みしているヒマは皆無。それゆえ、平常時にはなかなか訪れない発想の跳躍が起こったのかもしれません。(発想のクオリティや実現性はさておき)それはとてもエキサイティングな体験でした。

さらにこの後、それぞれがひねり出したアイデアを、「プロジェクト名」や「具体的なビジョン、「プロジェクトへの関わり方のスタンス」といった項目別に掘り下げていきます。(もちろん制限時間付き)。そして、ようやく完成されたプロジェクト概要を、それぞれのコトバで全体に発表していきます。(これも当然、制限時間付き)。

参加メンバーたちが発表したビジネスプランは、「約束を守らせるハガキ」や「コミュニケーションツールとしての商品タグ」など、ユニークな内容ばかり。それぞれの発表が終わる度に、大きな拍手が巻き起こります。

考えてみれば、この日集まっているのは、デザインやクリエイティブに興味がある人ばかり。目の前に横たわる課題をアイデアで解決する作業は、創造的な発想なしにはあり得ないものでした。「ビジネスプランを立ち上げる!」なんていうと、ついついおカタいものをイメージしていますが、その根っこにあるのはまさにクリエイティブの楽しさなのです。だからこそ、メンバーたちは自分のワークを楽しみ、ほかのメンバーのビジネスプランに称賛を贈っていたのかもしれません。


WORK05:グルーピング
決め手はおにぎりケーション?
プロジェクトチームを結成!

個人ワークの成果発表の後は、さらに具体的なビジネスプランを立ち上げるグループづくりの時間です。「あえてチームの作り方にルールは設けません。『あの人のプラン面白かったなぁ』『立ち姿が素敵だな』『声が良かったなぁ』など、直感に従って4人のチームを作ってください!」と「合同会社++」のヒラクさん。メンバーたちはそれぞれに声を掛け合いながら、チームを作っていきました。


チームができたらランチも兼ねた「おにぎりむすびえんむすび」。参加メンバーたちは会場に用意された白米とおにぎりの具で、オリジナルのおにぎりを作り、結成されたばかりのチームメンバーとシェアします。


“一緒に食卓を囲む”という行為は、人と人の距離をグッと縮めてくれる効果があるのかもしれません。10分前に結成されたばかりのプロジェクトチームにもかかわらず、すでにあちらこちらのテーブルから笑い声が聞こえてきました。


おにぎりのほか、ランチには「合同会社++」のふたりが振る舞う煮干しの出汁が効いた甲州味噌の味噌汁も。これがおいしかった!


WORK06:グループワーク:アイデア決定とまとめ
チームワークが生み出す相乗効果で
アイデアをビジネスプランに昇華!

ランチの後は、いよいよ本格的なグループワークのスタート。まずはチームメンバーたちがそれぞれ考えたアイデアの中から、チームとして採用する案をひとつ選択します。そして続いては、チーム案のブラッシュアップ。

「みなさんのテーブルに、新しい5枚のシートを用意しました。このシートの項目をコンプリートすることで荒削りなアイデアが具体的なビジネスプランに昇華。『東京ビジネスデザインアワード』に応募するための企画書が完成します。そしてあらためて言いますが、今日のワークショップの目的は『東京ビジネスデザインアワード』に応募することです(笑)」とヒラクさん。

5枚のシートにはビジネスプランの「キャッチコピー」や「概要」、「特長」「プロジェクトに関わるスタンス」、「スケジュール」、「見積書」などの項目が。参加メンバーたちは、ここまでのワーク同様に「3分で」「5分で」という時間制限の中、チーム内で議論を交わし、ひとつひとつの空欄と格闘していきます。

プロダクトデザイナーやwebディレクター、編集者、メーカー企画担当など、デザインやクリエイティブに関わるさまざまな職域の人々が集まった今回のワークショップ。デッサンが得意なメンバーがイメージ図を起こし、文章の専門家がテキストを制作する……。それぞれのスキルを活かしながら、各チームがビジネスプランを練っていきます。

さらに、ここでも有効に機能していたのが、時間制限によるスピード感と冒頭に伝えられた3つの約束。「“私”を主語に、肯定文で話すこと」「アイデアを共有すること」「出会いに感謝すること」でした。

アイデアマン、リアリスト、ロマンチスト……などなど。それぞれに個性の異なるメンバーが4名も集まれば、議論が紛糾してまとまらない!なんてこともありがちなはず。それでもプラン作成が進んで行ったのは、細かいことで悩んでいる時間はないし、お互いの意見を肯定的に捉えていくことで、チーム内にはポジティブな思考のグルーヴ感が発生していたから。結果、各チームのビジネスプランは、どんどんと膨らみ、転がっていきました。(ちなみに、我がチームでは「紙袋の有効利用」というアイデアが「世界から企業ロゴを消滅させよう!」というラディカルな野望へと至りました……)。

また、それぞれのビジネスアイデアにリアリティをもたらしていたのが、シート内の「スケジュール」や「予算」の項目でした。将来のビジョンや売り上げ、スタートアップ時に必要な予算を設定していくことで、ビジネスプランの輪郭が一層鮮明なものに。いつものクライアントワークでは、「スケジュール」や「予算」はクリエイターにとって「厳守すべき冷たい壁」になりがち。それなのに、自分たちが根本から関わったプロジェクトなら、これらのことに親近感を感じられるからなんとも不思議です。


周囲を見回しても、ホワイトボードに綿密なプランを書き込むチームあり、中心メンバーの熱い想いに突き動かされるチームあり、爆笑に包まれるチームあり、とそれぞれに展開はさまざま。各チームともに濃厚なグループワークの時間が続きました。


WORK07:グループワーク/プレゼンテーション
ついに各チームのプランが完成!
ビジネスって超クリエイティブ!


「DESIGN DIVE」のスタートからおよそ6時間が経った頃、ついに各チームのビジネスプランが完成しました。各チームの代表者が順番に、それぞれのプランをプレゼンテーションしていきます。


それぞれのアイデアは、これから実際に「東京ビジネスデザインアワード」に応募される予定。世の中を変えるようなビジネスになる可能性もあるので詳細はヒミツにしておきますが、いずれも半日で作ったとは思えないほど秀逸かつ斬新なプランばかり。各プランが発表されるたび、会場からは喝采が送られていました。


各チームの発表に、笑顔で聞き入る参加メンバーたち。なかには「もっとこうしたら面白いんじゃない?」「こういうアイデアもアリ?」なんて意見が飛び交う場面も。


この場にあるすべてのアイデアは、そもそも「自分たちの課題や社会問題を解決する!」という視点から生まれたもの。「ビジネスを通じてより良い未来を作っていこう」という基本軸があるからこそ、メンバーが同じビジョンを共有しやすかったのかもしれません。

すべてのチームのビジネスプランが出そろった頃、ヒラクさんからひとつの提案がありました。「今日のプランはそれぞれ一旦『東京ビジネスデザインアワード』に応募しますが、応募の〆切まではあと3週間ほどあります。『もっとブラッシュアップしていきたい』『違うアイデアも考えて見たい』というチームもあると思うので、今後、どう展開していくかを話し合ってください」。

この呼びかけに対して、再び集合して企画のブラッシュアップを誓うチーム。さっそくfacebookでグループを作って連携を取り合うチームなど、それぞれポジティブな反応。さらに参加メンバーたちがワークショップの感想を伝える時間が設けられ「とにかく疲れました(笑)。でも楽しかった!」。「アイデアではなく、想いから始まったのがうちのチームのプロジェクト。とても良い経験でした」、「普段、フリーランスとして活動しているので、他の人の意見に乗っかるのがこんなに楽しいとは!」なんて声が飛び交っていました。

ファシリテーターの安田さんは「社会問題と自分をもっと近づけて、解決していく。それをビジネスとしてやっていくことを私たちは続けています。今日は午前中、午後とハードなワークショップでしたが、みなさんのがんばりもあって充実した時間になりました。ありがとうございます!」と締めくくりました。

さて、こうして幕を閉じた「DESIGN DIVE」。ハードで、タイトで、刺激に満ちた7時間。脳みそをフル回転させ、ユニークな仲間達と議論を交わしながら「ビジネスプランニング」という未知の領域に踏み込んだワークショップを振り返ってみて強く思うのは『ビジネスって、それ自体が超ドープなクリエイティブじゃん!』ということでした。

というわけで参加メンバーのみなさん。本当におつかれさまでした!今後の展開を楽しみにしています!



執筆者

吉原 徹(サグレス)
1977年生まれ。フリーランスの編集者・ライターとしてwebや紙などで活動。メインのフィールドは“旅”で、世界7大陸約60の国と地域を取材する。その他の得意分野は、ビジネスやアウトドア、移住など。

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