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2011/04/01 INTERVIEWS INTERVIEWS

[クリエイターへの10の質問] 時代に流されない「楽しろい=楽しい+おもしろい」ものづくりを探求する―秋元きつね

クリエイターへの10の質問 -秋元きつね-

今回登場いただくのは、90年代に一大センセーショナルを巻き起こした子供向け番組「ウゴウゴルーガ」での映像をてがけ、その後もプレイステーションソフト「せがれいじり」や「ムダベラベラ」といった、スピード感あふれるナンセンス・コメディ映像など、日本を代表する人気アニメーション作家として活躍している秋元きつねさん。また、様々な作家たちとのコラボレーションによって生まれた「ヤンス! ガンス! Meat or Die」では、脚本/演出/編集を手掛け、国内外のアワードで高い評価を受けました。

見る人の予想をはるかに超える、インパクト大なムービーを生み出しつづけている秋元さんに、気になる「10の質問」をしてみました。
インタビューは、秋元さんの作品同様、予想だにしない驚きの答えが次々と飛び出します!


秋元きつね Kitsune Akimoto秋元きつねさん
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前回の記事

≫3Dキャラの錬金術師/ イラストレーター 吉井 宏さんのインタビュー



Q1. 秋元さんの肩書を教えてください。また、どうして今の仕事をするようになったのですか?

アミーガ

アミーガ(Photo by Kaiiv CC-BY-SA)

一般的にはCG作家ですかね。自分の「楽しろい」を形にする事そのものが役目なので、ジャンルやメディア、技術に拘らない野良作家のつもりでいます。

映像に限って言うなら、最初のきっかけは、自分が19歳前後の頃に丁稚奉公していた平沢進(P-MODEL)という音楽屋さんにコモドール社のアミーガという、当時としては珍しくCG映像を作れる安いパソコンを教えてもらった事が発端です。それまでパソコンや映像には特別興味なかったんですけど心が騒ぎました。

そのアミーガのCG映像を使ったフジテレビ「アインシュタイン」という番組があってよく見てたんですが「番組でアミーガを使える人を募集してるらしい」と聞き、スタッフルームに行ったところ「じゃ来週からよろしく」というのが映像仕事のスタートです。その番組スタッフが後の「ウゴウゴルーガ」に繋りました。

映像業界にどっぷり入らず何にでも化けるトリックスター的な存在でありたい、という思いを込めて「きつね」を名乗り始めた22歳の秋。丁度20年経ち、相変わらずやってます。



Q2. ご自身の作品のなかで、今もっとも見てほしい作品・活動を紹介してください。また、どんなところがオススメのポイントなのか紹介してください。

1. 「ヤンス!ガンス! MEAT OR DIE」

「ヤンス!ガンス! MEAT OR DIE」

「ヤンス!ガンス! MEAT OR DIE」

「昔からあるような単純明快な物語を、現代的、東京的なスピードでやったら面白いかな? もっと音楽のように楽しめる映像作品を!」と作った作品です。キャラクター、動き、音楽、効果音、演出、テンポ…どれも独自性が強く見所は満載で、映像でしか表現出来ない物なので、是非たくさんの人にご覧になって頂きたいです。

Meat or Die (『ヤンス! ガンス!』公式サイト) http://meatordie.com/
『ヤンス! ガンス!』 YouTube チャンネル http://www.youtube.com/user/yansgans

2. 「ドジったーズ」

「ドジったーズ」

「ドジったーズ」

恥ずかしくて口に出せないようなくだらないネタをオレが全部代弁してやるぜ! という意気込みで2011年2月より配信開始しました。制作過程もツイッターやタンブラーで報告しながら、出来上がって行く過程も楽しんでいけたらいいなと思ってます。いつか紙媒体やスマートフォン向けアプリ、アニメーションなど作って行きたいと思ってます。見所はとことんくだらない所なのでこれを読んでちょっと気楽になって頂ければと。

http://web.mac.com/kudan/kitune/dojitters/

3. 「ミンナのヨウス」

「ミンナのヨウス」

「ミンナのヨウス」


そこらで聴く事が出来ないような自主制作音楽CDです。ブックレットも見所なので是非CDを手にして欲しいですね。ライブでは歌とベース、映像も作るんでヘンテコリン度が増します。ライブが見所なんですが、準備が大変すぎて最近はなかなか実現出来ずにおります。

http://web.mac.com/kudan/GiraPhant/GPCD/khz002.html





Q3. 「ヤンス!ガンス!」を制作しているときに、いちばん印象的だった出来事を教えてください。

《ヤンス! ガンス! Meat or Die》 第十話のスチル画像集

「ヤンス!ガンス!」は、参加した6人の作家がバンドのようなノリで作れた事そのものが楽しかったですね。皆プロで実績もあり、歳が近いせいもあって細かい事言わなくてもお互いの言いたいことが大体通じていたり、みんなが良いタイミングで良いものをビシっと上げて来るなど、すべてが心地よかったです。

キャラや背景デザインの吉井宏さんとお仕事をするのは今回が初めてだったんですが、以前から憧れていた方だったので作品でご一緒出来た事が嬉しかったです。あとは売れてくれれば…なんですが、それが一番大変な事でしょうね。



Q4. クリエイターである秋元さんにとって、自身の作品における「かっこいい」とは、どんなものですか?

「自分にとっての適当」が、良い意味でも悪い意味でもカッコいいと思ってます。「流行のもの」を目指すのではなく、一見して「いい加減だなぁ」「テキトーだなぁ」と思われそうなものをつくるのが、自分にとって適当(適切)なやり方だと思っています。

例えば、「すっげー鼻毛長いおじさん発見!」とか、自分にとって重大で見逃す事が出来ない大事件です。その衝撃を伝えたいし、みんなで盛り上がりたいです。自分としては、それが面白いから描くだけなのですが、一般的に言うとくだらない事なので「これはくだらない物です」って言うしかない。
だから、セケンという街道を気にせず、独自の「けもの道」を突き進むために、本気で「適当」に作る努力をしています。



Q.5 CG映像だけでなく、音楽活動も精力的に行っていますが、どうして音楽づくりと映像づくりの両方を手掛けるようになったのですか?

「バンドがやりたい! 映像クリエイターになりたい!」とジャンルから入ったわけでなく、たまたま興味持って始めたというだけなので、特に意識はしてませんね。

ずっと考えている事は、音楽は「ながら聴き」出来るし何度も聴けるけど、映像作品は「ながら見」出来ないし何度も見られないという弱点があります。いつか音楽と映像の公約数にどちらの面白さも兼ね備えた「何か」を見つけたいんです。それがどういう物かは続けて行かないと見えて来ないので作り続ける以外無いですね。

それぞれの専門家には怒られてしまいますが、音楽と映像、どちらも大事でどちらもどうでもいい、それ以前に別に自分が作らなくたって誰も困らないわけで…と捨て身なスタンスでいます。



Q.6 制作のアイデアは、どうやって生まれるのですか? また、アイデアを生み出すために工夫していることなどを教えてください。

音楽の場合、作り手のメッセージがあっても、聴く人によって、聴く時の気分や時間、状況によっても感じ方が変わりますよね。映像の場合は作り手の意図が明確になってしまうんで、どうしてもストーリーに偏重しがちです。動きが面白い、色が面白いというプリミティブな面白さの先に何かイメージを感じる方が、映像に、より「音楽的」な面白さが出ると思ってるんです。

だから、映像に余計な情報を詰め込み、理解が追いつけなくなる状況を作った上で、楽しいテンポを作って「なんかよくわからないけど面白かった」にしたいんです。この「なんかよくわからないけど」こそ音楽的な部分だと思うので、いつも制作ではギリギリまで内容を詰めています。

工夫・努力してる事は、自分自身がアニメや映像の教育を専門で受けてきたわけではないという点を逆手に取って、敢えて勉強しないことを心がけてます。知識や経験に安心を求め、そこで思考停止して創作の自由が奪われることを避けたいんです。他人の作品に刺激は受けるけど、影響は受けない、という感じですね。

..と、文章で書くとちょっと大げさに見えますが、基本的には「○丁目の秋元っさん、また変なの作ったってよ!」「ったくしょーがねぇな! どれどれ…あーホントだ。っとにバカだねぇあいつぁ」みたいなノリが楽しいなと思ってます。



Q7. 仕事場を見せていただけますか?

秋元きつねさん - オフィスの様子

出来るだけ物を減らしたいんですが、なんだかゴチャゴチャしてます。本、DVD、CDの類いは極力視界に入らないよう、収納ボックスに隠すかすぐ処分してます。



Q8. 仕事をするうえで欠かせないモノを見せてください。

ノート

1. ノート

ベース

2. ベース

刀

3. 刀

1. ノート

http://www.thinkingpower.jp/
最近はツバメノートのブランド「Thinking Power Notebook」というのが気に入って使ってます。付け根にミシン目が入っているので、ドキュメントスキャナで取り込む場合も便利。横長というのが使いやすいです。「表紙に描かれたイラストがすごくいいなぁ」なんてツイートしたら、そのイラスト描いてるYOUCHANさんと相互フォローだった事を知って驚きました。ペンはSTEADLERの鉛筆の芯が出て来る物でずっと使ってます。

2. ベース

http://www.atlansia.jp/
長野県にあるAtlansiaというメーカーのPegasusというベースです。もうかれこれ20年弱使ってますが、デザインも音も素晴らしいです。かなり乱暴に扱ってますけど未だネックが反らないし、見るだけ、持つだけでも野良の職人魂を感じられるのが嬉しいです。映像やイラスト作っている途中でふっと思いついたフレーズを弾いてみたり、ちょっと煮詰まった時に弾くと頭がゆるくなるんで、脇に常備しています。

3. 刀

http://www.touhei.com/index2.html
中国武術(カンフー)の練習用の刀です。6年くらい前「とうへい中国武術会」という所で習い始めました。会のホームページや教材用の映像制作などで携わるほど深入りしています。ずっと机に向かって作業していると首、肩、腰が辛くなるので部屋で基本の動きなど練習して身体の緊張をほぐしてます。現在、先生の中国武術教材iPhoneアプリ制作の話を進めてます。



Q.9 これから新しくチャレンジしてみたいことを教えてください。もしくは、今一番興味のあることを紹介してください。

実写の映像で何か作る事に挑戦したいと思ってます。実写に関してまったく知識が無いので、これもそれを逆手にとって、音楽のような? CGのような? 何か面白いものを作れたら、人や空間と関わりながら楽しめるだろうなぁと妄想してます。結果どうなるかはわかりませんが、少しずつ出来る範囲からやってみたいと思ってます。まぁこれに限らず、知識や経験が無い事で専門家が思いつかない物が生まれればそこが面白いんじゃないかと思うので、興味持ったら色々なものに挑戦したいですね。



Q.10 最後に、何か言いたいことをご自由にお書きください。

テレビやネットで成功した人ばかり紹介されてたり、ネット上でも立派な事言う人が沢山居ますよね。昔に比べてそうした情報に触れる機会がもの凄く増えてます。夢や理想を持つ事は重要ですが、結果や成功しか見えなくなると合理性や効率ばかり考えてしまいがちです。他の職種には必要でしょうけど、物を創る人間としてはつまらなくなってしまう。

そこで、20年のキャリアを生かし、率先して無駄な事や失敗、売れない作品でもなんでもどんどん晒して行く事で、これからの人たちに夢と希望を…ってそれはウソですけど、もっと自由にもっと気楽に行こうよ! とそれを体現していくので見守ってやって下さい。

【PR】
「ドジったーズ」は最初登録が面倒ですが、その後ずっと気楽に読めますんで宜しくお願いします! 大人が30円出して作品を買う、それ自体を楽しんで頂ければ。 |  「ドジったーズ」 http://web.mac.com/kudan/kitune/dojitters/

【編集部追記】
秋元きつねさんの「ドジったーズ」は、現在、その売上全額を震災義援金として寄付されるとのことです。ぜひ、 「ドジったーズ」 興味のある方はご覧ください。




秋元 きつね(あきもと・きつね)

秋元 きつね Kitsune AkimotoCG作家。有限会社件(くだん)代表取締役。1992年、当時カルト的な人気を誇った子供向け番組「ウゴウゴルーガ」で「がんばれまさおくん」「とのさま」などの映像を手掛けた。プレイステーション用ゲームソフトにもなった「せがれ」シリーズ(1996~2002年)や「ムダベラベラ」(SmaSTATION内放映)など、アニメの一般常識を逸脱したショートショート作品を得意とする。2009年 には、村山太氏、吉井宏氏らと手掛けた「ヤンス!ガンス! MEAT OR DIE」が東京コンテンツマーケットグランプリ受賞をはじめ、国内外のアワードで高い評価を受ける。
横浜トリエンナーレ(2001)ではインスタレーション作品の展示を行うなど、メディアアートの領域でも活躍。近年ではNHK教育「いないいないばあっ!」「おかあさんといっしょ」を始め、こども幼児向けの映像やイラストなど制作しながら、インディーズバンド「ジラファント」や自主制作による作品制作を行っている。
≫秋元きつねさんの ポートフォリオを見る
≫有限会社件(くだん) http://web.mac.com/kudan/

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